■track01 《実験体012》 ───────────────────────────────── この度は、人体管理システムHCMの公開実験にご参加いただきありがとうございます スポンサーの皆様にはHCMの有用性と拡張性をご理解いただくと共に、より多くの方にHCMの導入をご検討いただければ幸いです 実験内容説明の為、自己紹介プログラム334を実行します 私は、実験体コード番号《012》です 現在私は人体管理システム、ヒューマンコントロールマシン、HCMの制御下にあります HCMについてご説明いたします HCMとは、人間の感情とあらゆる行動をコントロールするシステムです 苦痛や快楽、熱さ、寒さなど、全て感覚は正常、或いは鋭敏に機能しますが、 それらに伴う感情や反射、拒否反応を含めた行動は一切表に出すことができません 実験体の意識は明瞭に保たれ、思考することは可能ですが、全ての発言、感情表現はHCMにより厳しく制御されています さらに呼吸や排泄、睡眠といった生理的行動も、HCMの管理下にあります 従って、実験体はどんな苦痛や快楽に晒されても、どれほどの恐怖や嫌悪に苛まれようとも、抵抗はおろか、身動ぎ一つできません 喘ぐことも、泣き叫ぶことも、許しを乞うことも許されません 自らの体の中に閉じ込められて、あらゆる自由を剥奪されるシステム それがHCMです HCMによる人体管理には様々な利用方法が考えられます 奴隷調教、洗脳、人格破壊 絶対服従を強いるその強制力は、実験体の意思に関わらず、あらゆる命令に従わせることができます そして数ある利用法の一つとして挙げられるのが、人体実験です 実験体に与えられる全ての刺激は余さずHCMによって数値化され、それに対する感情や肉体反応も全て体感データとして精密に記録されます しかしそれらはデータとして蓄積されるだけで、実際に感情表現として表出することはありません 代わりにHCMによって実行されるプログラムの下、実験体自身に、つまり私に、実験状況を詳細に説明させることが可能です 実験体の生命活動が停止しない限り、疲労や衰弱を無視して、非常に高い精度で強制させられます HCMを使用する事によって、およそ人体の支配に類する行為において、最高のパフォーマンスをあげる事ができます 現在、実験体である私の人格は、HCMによって完全に管理されています これらの説明は、HCMが私に命令し、私の意思を無視して行っています 現在の私の精神状態は、お手元の端末に表示された情報をご覧になるか、HCM感情説明プログラムを実行することでご確認いただけます 現在の私の感情は、焦燥と恐怖です プログラム334を継続します 私はHCMに管理され始めてから、3年と4ヵ月、16日13時間、46分21秒が経過しています 私の体はHCMの完全な制御下にあり、私自身の意思で行える行動は一切ありません 私がこの実験施設で、HCMによって管理され始めてから、2734種の人体実験が行われました 私の体にはあらゆる改造プログラムが施され、夥しい量の投薬と開発調教により、HCMの制御が無ければ即座に発狂してしまう状態です 呼吸、瞬き、発汗、痙攣、鼓動 随意、不随意に関わらず、およそ思考以外の全ての生命活動がHCMの実験体管理プログラムに沿って行われています 私の意識レベルもHCMを介した外部操作によって制御されており、覚醒状態と睡眠状態の移行も、私自身の意思では行えません 前回の睡眠休息が許可されてから、77時間30分53秒が経過しています HCMによる制御開始から、HCMは幾度となくアップデートが行われました その度に私の体への制御と支配は厳しくなり、今では成長も停止しています 代謝は必要最低限に抑えられ、投薬によってのみ、栄養補給と健康維持が行われています 私の体はHCMにより健康状態を保っていますが、私の精神は、終わりの無い実験生活に耐えられませんでした 数値上、常人が廃人と化す200倍の負荷にも耐えられるよう、HCMは実験体の精神を維持し続けますが、実験体生活の中で、私の人格は崩壊しつつありました その為、私の精神崩壊を防止する処置として、私の脳内には特殊なマイクロチップが植え付けられています このマイクロチップは極小の疑似脳とも言うべき精密装置で、その中に私の人格データが保存されています 私の精神が耐久限界を迎えると、人格データのバックアップがHCMの実験体管理プログラムによって起動し、精神崩壊前の状態に戻します その際、マイクロチップ内で精神崩壊を起こした実験内容と体感データが人格データに上書きされる為、精神崩壊するまでの記憶は維持されることになります 私の体で、何度も精神崩壊級の人体実験を行い、終わりの無い生き地獄に閉じ込める為のシステムです 私は繰り返し自死を望み、最期の時を渇望しています 私は正気を保ったまま、それが決して与えられないものであることも、理解しています 現在の私の感情は、諦観と絶望です 本日の公開実験は全て、HCM制御下にある私の精神が崩壊するまで行われます 精神崩壊後、速やかにバックアップを用いた回復処理を行い、次の実験に移行します 様々な改造処置を施され、性感神経の塊と化した私の体は、通常ならば容易に精神崩壊に追い込まれますが、アップデートを重ねたHCMの制御により、廃人レベルの1000倍の負荷にまで耐える事が可能です どう考えても、人に対して行ってはならない過酷な実験が行われますが、HCMの制御により、私の感情、無意味な命乞いや意味を成さない絶叫が皆様に届くことはありません プログラム334を継続します 私はHCMの開発、研究を行う組織の一員でした 完全な身体制御が行われることで可能になる治療や、精神病に関する医療を発展させる為にHCMの開発に携わっていましたが、それが非道な人体実験に使われている事を知り、それを止めようと画策しました …………が、それはあっさりと失敗に終わりました 人体実験の証拠を公表し、研究データを消去しようとした私は……睡眠ガスで眠らされ、拘束されました そして私は、HCMをより完全なものにする為の実験体として、処分されることになりました 以降、私はずっとHCMの制御下で、様々な実験に使われ続けています 当初は、HCMのプログラムにも精通している研究員であったことから、必死に脱出の糸口を探していましたが………それらは全て、徒労に終わりました 私自身の意思では、手を動かすことも、足を踏み出すことも、何一つできません 指一本、呻き声一つ、上げられません その事実が、HCMの人体制御の完璧さを裏付ける、証拠の一つにもなっています 外部から一方的に感情を観察され、性感調教によって徹底的に体を開発されました 私の体で、性感調教を施されていない部位は一つもありません 反抗心が折れてからも、何も変わりません 人として扱われることは無く、体の隅から隅まで、様々な改造実験が行われました 私の体は今、全身が極めて鋭敏な性感帯になっています HCMによる絶頂管理によって絶頂を制限されていますが、それが無ければ、常に絶頂し続けるほどの感度です 現在は絶頂寸前でキープされており、常に精神崩壊レベルの絶頂欲求と、転げ回るほどの快楽を感じています ですが、私に許されているのは、それを黙って受け入れる事だけです 事前のご説明は以上です プログラム334を終了します まもなく、公開実験を開始します HCMは無垢な実験体を一から効率的に開発する場合も、非常に有用ですが、廃棄処分する他ない、使用済み実験体をリサイクルすることも可能です 本日はその利点をスポンサー様にご確認いただき、また実験内容そのものを楽しんでいただくべく、以下の3つの実験を行います 【HCMによる絶頂の固定と絶頂重複、多重化実験】 【呼吸制限を用いた絶頂の蓄積、集束絶頂実験】 【寸止め状態での性感度増幅限界値測定実験】 HCMによって管理されている実験体でも、確実に精神崩壊に至る危険なレベルの実験です HCMの管理が無ければ実験終了まで生命を維持する事もできず、HCMの管理下にあってさえ、精神崩壊を免れません その為、実験体を使い捨てにして行うしかない人体実験ですが、その分得られるデータは非常に有用です 脳内マイクロチップのバックアップによる回復を前提にしている私は、精神崩壊後も再利用していただくことが可能です これらの実験は、私の心身が耐えられなくなるまで継続します 耐久限界値を測定、そのデータを他の実験に活かす事が目的です また、その様子をスポンサーの皆様にご鑑賞いただく事で、HCMによる人体管理の完成度を実感していただくことも、目標の一つです HCM制御下にある私は、精神崩壊という最期を前にしても、感情を表に出すことは決してありません 私の人格は一つ一つの実験で確実に破壊され、脳にも重篤なダメージが発生します 私は可能な限りその負荷に耐え続け、精神が崩壊するまで実験内容の報告を続けます 死刑宣告よりも尚、残酷なこの事実を前にし、私は激しい絶望感に苛まれていますが、HCMの制御の前ではこのようにプログラムに従い、淡々と事実を述べることしかできません 精神崩壊後は、速やかな人格の復元と身体の回復処理を行います 私の心が砕け散る瞬間を、最期までお楽しみいただければ幸いです