【HCS実験体廃棄処分手順】 実験体評価ランク《E×》に登録された廃棄処分個体の処分方法。 それは大きく分けて三種に分類されている。 HCS実験体は、その生命の最期の一片までHCS研究の礎として有効活用する為、様々な処分方法が考案され、その中で有用な物が採用されている。 処分方法① 『生体バッテリー化』 通称《肉電池》。 《処分匣》と呼ばれる80㎝×50㎝×50㎝の保存容器内で、硬化ベークライトによる封入拘束を行い、生体電池として保管される。 廃棄処分個体は、体感時間調整システムによる加速倍率を最大に固定し、発電効率を最大化する。 ストレス値が高いほど発電効率は上がり、自動化された快楽負荷を与え続ける事で、長期的な運用が可能になる。 全ての《肉電池》達は、透明な樹脂で箱型に押し固められ、一切の光が届かず、余計な空間を完全に排除した空間に隙間なく並べられる。 省スペース化、維持費削減の為、四肢切断や臓器の機械化処理が施され、全ての運動機能はロックされている。 6×6×6、計216体の《処分匣》の立方体が1ブロックとして管理され、相互に感覚共有や絶頂の集束が行われ、運用効率を最適化されている。 一度《肉電池》として加工された個体は、その後他の用途で使用されることは無く、息絶えた後はそのまま封印される。 発電効率が低下したブロックは、その分快楽負荷を引き上げられ、一定の発電効率を維持するように調整される。 全ての《肉電池》が使用不能になったブロックは埋設処分される。 《肉電池》から回収される生体エネルギーは、上層の研究施設の電力と、《肉電池》自体の管理維持に費やされる。 必要最低限の、断続的な酸素吸入、栄養素の循環供給しか行われず、ゆっくりと朽ちていく身体データだけが記録される為、廃棄処分個体は、膨大な主観体感時間を、死を待つためだけに過ごす。 発電効率の改良の為、現在も《肉電池》に与える快楽負荷は様々な検証と改良、最適化が行われている。 周期的な強制絶頂、絶頂状態の維持、寸止め。 快楽電流、感覚共有、快楽レーザーの多重照射。 あらゆる条件下で、組み合わせと強度の調整が行われ、発電効率と耐用年数の両立が研究されている。 最も採用率が高い処分方法。 《最初期個体・HCS-0000》は、廃棄処分決定から約18年間、《特別処分匣》内で感覚遮断状態を維持され、体感時間調整システムにより加速された意識上では、推定2,365,200,000日間が経過している。 現在もまだ、心肺停止及び精神崩壊は確認されていない。 《永久絶頂禁止》+《強制発情》+《快楽蓄積》により、限界まで強化された絶頂欲求を、他の《肉電池》に適時感覚共有させることで、快楽負荷の調整に利用されている。 処分方法② 『苗床化』 通称《生き餌》。 HCS研究施設で培養されている触手生物、淫蟲、淫毒スライム、生体兵器等を効率的に増殖させる為の触媒として利用される。 ほとんどの培養生物は、捕食ではなく同化や融合によって生命を維持し、苗床の体を利用して個体数を増やしていく。 HCS実験体の体内にある特殊ナノマシンにより、生命維持に必要な器官は保護されるが、四肢を始め、臓器の大半と脊髄まで培養生物に取り込まれ、生きたまま苗床として妊娠、出産を繰り返す。 培養生物は、効率的な増殖を行う為に、苗床の感度を高め、常に発情状態を維持させる体液を分泌、供給する。 同化した部位からの体液の流入、体表への塗布、培養槽内に充満する気化媚毒。 廃棄処分個体が摂取する全ての栄養素に極めて高濃度の媚毒が配合されており、その体質に合わせて最も効果を発揮するように成分が調整されていく。 現在、最も効率的に個体数を増やす方法として、《絶頂禁止状態》での管理が推奨されている。 永続的な媚毒中毒に加え、絶頂寸前の極度の発情状態を常に維持させる事で、培養生物の個体数増殖ペースは平均《7.8》倍に上昇する事が確認されている。 絶頂状態の維持や、絶頂深度、重複絶頂数を調整した検証も行われたが、絶頂を禁じた状態での苗床化が、長期的には最も効率的である事が判明している。 苗床としては、主に子宮、卵巣、膣壁、直腸、膀胱、乳腺、肺などが利用され、全ての性感神経に絶え間なく刺激が送られる。 培養生物は、廃棄処分個体の体液を餌として吸収する為、より効率的に餌を摂取できるよう、個体に合わせて刺激の最適化を繰り返している。 《絶頂禁止》期間が長いほど、総合的な《餌》の分泌量も増える為、苗床にされた個体に絶頂が許可されることは基本的に無い。 処分方法③ 『オブジェ加工』 ハイクラスユーザーから強い要請があった場合のみ、特定の廃棄処分個体の特殊加工、通称《家具化》が行われる。 任意の姿勢で完全に固定し、半永久的にその状態を維持できるよう加工が施される。 特殊ナノマシンによる体内からの硬化から、熱硬化性樹脂による全身拘束まで、ユーザーの要請に合わせた加工方法が検討される。 その際、申請があれば肉体改造も行われ、特定の部位に購入者の希望に合わせた加工、装飾を行う。 基本的に、加工後はHCS実験体としての利用価値は失われる為、加工費用を含めた売買契約が取り交わされ、廃棄処分個体の所有権は購入者に移譲される。 意識レベル、感度レベルの操作、生命維持の停止を含めた、全ての管理権限が購入者に譲渡され、売買契約後は《HCS実験体》から《器物》に分類が変更される。 処分方法の中では最も採用ケースが少なく、現在までに《17》体しか《オブジェ加工》は行われていない。 ・庭園の装飾として、24時間潮噴きを続ける《雌彫像》。 ・自らの体液で大量の《淫花》を育てる《絶頂花瓶》。 ・決して動けず、一言も喋れず、ただ体温を提供するだけの《肉枕》。 ・所有者の性欲と汚物を処理する為の《性便器》。 ・媚毒の管理、長期保存、濃度調整に用いる為の《媚毒壺》。 ・クリトリス調教研修用の《クリトリスボックス》。 etc… 『備考』 現在、廃棄処分済み個体数は《14,239》体。 その内、《10,592》体は生命維持が行われており、残り《3,647》体は生命活動の停止が確認されている。 生命活動が停止した個体からは特殊ナノマシンが回収され、その生体データの解析、記録が行われている。 記録された生体データからは、体感データの抽出、編集、共有が行われ、快楽地獄の中で命尽きるまで酷使された実験体の感覚が、他の実験体にも与えられる。