◆ キサキが地下研究所に送られてから三か月。 一時間に付き一倍づつ感度が上昇するという、呪いじみた洗脳がそのままであれば、感度が《2,000倍》を軽く超えている頃。 キサキの体の性感度は、その更に五十倍。 《100,000倍》を超えていた。 もはや、洗脳装置による全身支配が無ければ、《黒き門主》竜華キサキと言えども確実に気が触れるレベルの快楽地獄。 それでも、感度を上昇させ続ける淫呪が解かれることは無い。 むしろ、更に性感を増幅させ、より効率的にキヴォトス生徒を無力化する方法が研究され続けていた。 そんな日々の中で、キサキの視線や、瞬き、瞳孔の収縮頻度が、何らかのサインになっている可能性がある、という事実が発覚した。 研究データを閲覧した、外部の人間に向けたSOS信号。 ほとんど無意味で、ほぼ確実に徒労に終わる、けれども、今のキサキに唯一可能な、外部へ連絡を取ろうとする行為。 それは、キサキがまだ健常な精神を保っているという証であり、研究員達にとって、キサキが決して油断ならない存在である事を忘れるな、という警鐘になった。 そして、徹底的な管理が施されているにも関わらず、反抗する意志を残していたキサキには、相応の懲罰が下されることになる。 キサキの精一杯の足掻きは、そんな最悪の結果を残して潰えることになった。 分厚い硬質ガラスを隔てた実験室に閉じ込められているキサキに取られた対策は、至極単純。 目隠しによって視覚を封じ、外部からも、キサキ自身からも、アイコンタクトによる意思表示を行えないようにするものだった。 キサキは、いきなり視覚を制限され、目を開けても閉じても変わらない、無明の常闇の中に閉じ込められてしまった。 身動ぎ一つできない完全拘束下で、更に五感の一つまで奪われる、想像を絶する不安と恐怖。 僅かに瞳を震わせるだけの、助けを求める意志の発露に対し、その罰はあまりにも重かった。 一日二日では済まない。 いつ終わるのかさえわからない。 無期限に、研究員の一存で、視覚という代えがたい感覚を剥奪された。 その気になれば眼球の動きを抑制するような命令を出す事も可能な筈だ。 しかし研究員達は、より確実で、利便性の高い方法を選択した。 必要が無ければ、今後キサキの視覚拘束が解かれることは無い。 その上、副作用として、更に数段階。 感度の上昇ペースが上がってしまった。 そもそも人は、意識のある状態で長時間目を閉じない。 閉じたとしても、精々数時間。 それだけでも、不足した視覚情報を補うように、触覚や聴覚が鋭敏化する。 それほど視覚が占める感覚量の割合は大きく、それが失われた時、他の感覚器によってそれを補おうとする反応は、無意識に起こってしまう生理現象の一種だった。 極限まで神経が張り詰めているキサキの体から視覚が奪われて一週間。 日ごとに感度の上昇ペースは上がっていく。 息を吹きかけるだけで、 パチンと指を鳴らすだけで、 一滴の精液の香りを嗅ぐだけで、 性器からゴポリと白く濁った本気汁が溢れ出る程の性感領域。 そんな状態に陥ったキサキには、新たな絶頂条件が与えられた。 《絶頂レベル7以上の三重絶頂のみ許可》 《絶頂時間を0.5秒に制限》 《絶頂可能部位を、喉、耳、舌、腋、へそ、足裏に限定》 生半可な条件では簡単にクリアしてしまう異常な感度であっても、当分の間は達成が困難な内容。 それは、飛躍的に上昇していく感度に比べれば、比較的低い状態に留まっている発情値を強制的に引き上げる為の、要するに焦らし責めだった。 それからしばらく。 キサキは僅かな光も届かない暗闇の中で、一言も発せず、ピクリとも動けず、絶頂まで封じられ、煮え滾る淫欲で全身を蕩かされる事になった。 ◆ ・性感値:113,998倍(一時間毎に+169倍) ・発情値: 20,054倍(無限蓄積) ・絶頂条件 ①絶頂レベル7以上の三箇所同時絶頂 ②絶頂可能時間制限《0.5秒》 ③絶頂部位限定《咽頭、耳孔、舌、腋窩、臍、足底》 ・感覚制限中(視覚) ・制限期間(無期限)