滝汗の午後
Added 2025-10-27 10:28:14 +0000 UTC玄関を閉めた瞬間、むっとした空気が身体を包んだ。 雨上がりの蒸気と、午後の熱が入り混じった重い空気。 気温は29度にまで上がったという。日が傾きかけた今もなお、 家の中にはその熱気が閉じ込められていた。 西住しほは、ゆっくりと息を吐いた。 スポーツウェアの内側で、汗が皮膚を伝い続けている。 走っていた時よりも、止まってからのほうがよほど汗の量が多い―― そんな皮肉な事実を、身体が嫌というほど突きつけてくる。 「……扇風機、出しっぱなしにしておくべきだったわね」 独り言を漏らしながら、しほは靴を脱ぎ、湿ったレギンスの裾を少し引っ張った。 脚にまとわりついた布地が「ぴちっ」と音を立てて離れる。 太腿の付け根に溜まった汗が、冷たく空気に晒されてゾクッとした。 そのまま洗面所へと向かう。 ドアノブに手をかけた瞬間、二の腕からポタリと汗が落ちた。 足元を見ると、廊下に自分の足跡が残っている。汗が落ちてできたものだ。 (これは、着替えを取りに戻る前に、まず浴びたほうがいいわね) しほは、シャワーだけでも先に浴びることにした。 上着を脱ぐ間も惜しく、脱衣所の扉を静かに開ける。