(カウチ)
絵描きや3Dモデラーのためのビジュアル的な家具辞典があまりない事に気がついたので自分で作っていく特集記事。
前回の1人がけの椅子に引き続き、今回は長椅子(2~人がけの椅子)編になります。

(アップホルスターアームチェアandオットマン) 先日colosoの講座にて、絵に必要な知識諸々の解説をしたのだけど、家具や室内に置く小物モチーフの知識については軽く説明する程度に終わってしまった。 代わりにオススメできるよくまとまった書籍でもあれば、と思ったのだけど、思えば絵描き・クリエイター向けの綺麗な図...
☝️前回の記事はこちら
長椅子は大まかな形でいくつかに分類できる。今回は、
・ソファ
・カウチ
・セティ
・ベンチ
・その他
の5つに分けて解説していきます。
分け方や名称に明確な決まりがあるわけではない(し、私自身も独学ゆえによく分かっていない部分もある)ので、気になった家具については項目末尾に記載した検索ワードで調べてみると正確&楽しいかと思います。
(アップホルスター &タフテッドソファ?)
今回の章立てのなかで一番聞き馴染みのある名前がこの「ソファ」ではないでしょうか。分類の仕方によっては、「カウチ」もソファの一部に含まれるように、長椅子といってパッと想像するものは大抵ソファと呼べる。
ソファの特徴として
・背もたれと肘掛けがある
・クッション性があり、座りやすさを重視した設計
・布張り、もしくは革張り
が挙げられる。今回カウチと区別するにあたって、「座る事が主目的である」ものを特にソファとして分類しています。応接間やリビングルームの主役をドンと飾る存在、それがソファ。
ソファは背の形で名称がつく事が多く、これからご紹介するものたちも、大抵は背もたれの形がそのまま名前になっています。
🛋️キャメルバックソファ
背もたれの中央部がラクダのように高くなり、優美な曲線を描くソファ。大抵はひとこぶラクダ🐪だけど、2つ山を作る形状のものも稀に見かける。
背もたれの両端はそのまま、くるっと巻いたロールオーバーアームに繋がるシルエットになる事が多い。
検索ワード: Camel-back sofa、Hump-back sofa,
🛋️カメオバックソファ
カメオのように楕円形の骨組みの背もたれを持つソファ。円の形や数はさまざまで、1~3つほどの独立した背が自由に配置される。
また、基本的に縦長の楕円の背もたれを持つカメオバックソファの他、似たソファに「メダリオンバックソファ」があり、こちらは横長の楕円形の背もたれを持つ。
両者とも、木枠や足に豪華な彫りが施される事が多い。
検索ワード: Cameo-back sofa、Medallion back sofa
🛋️ダブルスプーンバックソファ
背もたれの両端がそれぞれスプーンのように丸く盛り上がったソファ。
曲線的で優美な装飾がなされる。
検索ワード: Double spoon back sofa、spoon back sofa、Double spoon back settee、Belter sofa
🛋️チャンネルバックソファ
縦に分割されたクッションを並べたような背もたれを持つソファ。
見た目が貝殻に似ていることから、「シェルバックソファ」とも呼ばれる。アールデコ(20世紀初頭)~ミッドセンチュリーあたりの椅子なので、比較的新しいデザイン。
検索ワード: Channel-back sofa、Channeled back sofa、Shell back sofa、Shell sofa、Fluted back sofa
🛋️ウィングバックソファ
両脇を囲うように翼状に広がった背もたれを持つソファ。
その特徴的な形状から背もたれは高めに作られがちで、ハイバックソファとしての側面もある。
検索ワード: Wing back sofa、Wing sofa
🛋️チェスターフィールドソファ
革張り、もしくは布張りの背や肘掛けに、タフティング(鋲やボタンで布地をダイヤモンド型に留める意匠)が施されたソファ。
イギリス発祥で、英国紳士が背を伸ばして座るための硬めの座面が特徴。このような男性的で重厚な意匠のソファを総称して「クラブソファ」と呼ぶこともある。
検索ワード: Chesterfield sofa、Club sofa
🛋️コンフィダント
三つの座部を持つソファ。一般的なソファの形の両側に、小さな座部が斜めに連結したような構造。
主に19世紀英仏のサロンなどで用いられた。なぜか「salon sofa」という言葉はあまり定着していないものの、サロンで用いられたソファはクラブソファと対照的に華奢で女性的な印象を持つ。
検索ワード: Confidante、Confidante sofa
(メダリオンバックカウチ)
ソファの一部とされることもあるカウチ。背や肘掛けの形状で分類することもあるのだけど、今回は分かりやすく、「横たわることが主目的である」ことをカウチの条件として分類しています。
🛋️カウチ
横になる事が前提の長椅子。枕のように頭を支えるため、片側の肘掛けや背もたれが高くなる、左右非対称の形状をしている事が多い。
肘掛けが片側のみのデザインのものも多い。
このようなデザインのカウチの中には、19世紀の女性がきついコルセットのために気絶、体調不良などを起こした際の回復用の気絶カウチ(fainting couch)という種類もある。
検索ワード: Couch、Fainting couch
🛋️シェーズロング
足を伸ばして座れるように椅子の座部を長く伸ばしたような形状のソファ。脚は4本だけではなく、座面の長さに応じて余分についている事が多い。
綴りを間違われる事が多く、正しくはフランス語由来の「chaise longue」なのだけど、「chaise lounge(シェーズラウンジ≒くつろぐ椅子)」と表記される事もある。
検索ワード: Chaise longue、Chaise lounge、Duchesse couch
🛋️メリディエンヌ
カウチの一種で、特に片側だけに肘掛けと背もたれがある非対称なデザインのものを指す。シェーズロングは椅子の座部をそのまま伸ばした対称形であるのに対し、メリディエンヌは優雅に斜め向きに横たわれるように設計されている。
正午(méridien)頃の昼寝用の寝椅子。
検索ワード: Méridienne
🛋️レカミエ
背もたれ部分がなく、代わりに左右の肘掛けが背もたれのように高く作られた、Uの字型のシンメトリーなカウチ。古典的でシンプルなデザインが特徴で、このような意匠のソファは「Grecian couch」と呼ばれる。
フランスの画家ルイ=ダヴィッドの「レカミエ夫人の肖像」で描かれた事が名前の由来。
検索ワード: Récamier、Grecian sofa
🛋️デイベッド
寝台として利用できるソファ。寝椅子とベッドの中間のような存在。壁際に置いて使用する事が多く、背もたれ部分のないデザインのものも多い。
検索ワード: Daybed
🛋️カナぺ
サロンや応接間で使われる小型のソファの総称。華奢なスタイルのフランス製ソファを指す。
小型ソファを指す言葉なので、形状に明確なな決まりはないのだけど、図のように背もたれと一体化した肘掛けがぐるりと前面まで覆うようなデザインがしばしば見られる(それが好きだったので描いた)。
検索ワード: Canapé
🛋️ヴェイユーズ
「見張り人」という意味の通り、夜間の看病や見張りのために用いられたカウチ。背もたれと一体化した肘掛けがぐるりと前面に回り込むデザインだけど、その他の家具と区別できる点は、この背もたれが左右非対称で、頭をもたれさせる側が高いデザインになっていること。
検索ワード: Veilleuse
🛋️デュシェーズブリゼ
シェーズロングを分割したような形状のソファ。アームチェアとオットマンのセットのように見えるけど、分割されたオットマン側の椅子にも小さな背もたれが付いている事が多い。
どのパーツをどの長さで、いくつに区切るかはバリエーション豊か。足おき側を長めにとって二つに分割したデザインもあれば、中央にスツールを挟んでアームチェアが向かい合うように三分割されたデザインもある。
検索ワード: Duchesse brisée、Broken duchess
「セティ」はあまり聞き馴染みのない言葉かもしれない。ソファやカウチに比べると古風で控えめな印象の家具で、もとは中世ヨーロッパで用いられた「セトル(Settle)」という、チェスト(収納箱)の上に背もたれと肘掛けを取り付けたような木製家具から派生して生まれたもの。
そのため、くつろぐための家具であるソファやカウチに比べると、控えめに腰掛ける程度のセティはクッション性や座り心地は重視されていない。
基本的に軽量で、木製のフレームが露出しているものが多い。
また、脚や背で一人分ずつ座席が区切られるデザインが多いのも特徴。
ソファやカウチより木製部分が多く露出しているからか、インレイ(象嵌)の施された美しいものがしばしば見られる。インレイは、模様に沿って彫った溝に、パズルのように別の素材をはめ込む装飾。
(handleさんのコラムが分かりやすいので詳しくはこちら…)
検索ワード: Settee、Settle、Inlay settee
背もたれがない、または簡易的な長椅子。基本的に実用性が重視され、座り心地や装飾性はセティに比べても控えめ。屋外で使用される事も多く、木製のものだけではなく、金属やプラスチック製のものなど様々な素材で作られる。
教会で使われるベンチは特に「ピュー(Pew)」と呼ばれる。普通のベンチより重厚で固定式のものが多く、側面にはキリスト教建築を思わせる彫りが刻まれている。
同じく宗教系のベンチに「モンクスベンチ(Monks bench)」があり、前回の記事で紹介したモンクスチェアのように、背もたれを倒してテーブルのように使う事も出来る。
検索ワード: Bench、Iron bench、Pew、Monks bench
(ゴシップベンチ)
🛋️テートアテート
二人が差し向かいで座るためにデザインされた、S字状の椅子。フランス語で「対談」「二人きりの内緒話」を指す名前通り、座った二人の距離が小声で話すのにちょうど良い距離感になる。密談椅子、キッシングベンチなど別名も多い。
検索ワード : Tête-à-tête、Kissing bench、Siamoise chair、Confidante chair、Courting bench、密談椅子、(Dos-à-dos、Vis-à-vis)
🛋️カンバセーションセティ
3人で差し向かいに座るためにデザインされた椅子。3つの座部が連結し、曲線的にデザインされた構造が特徴。名前の通り、談話や親密なやりとりの場で使われた。
検索ワード : Conversation settee、Conversation sofa、triple Tête-à-tête
🛋️ラウンドカンバセーションソファ
中央の背もたれを囲むように、複数人が輪になって腰掛けられるようデザインされたソファ。ホテルのロビーや大きなホールなど広い空間に置かれることが多い。名称がはっきりしていないため、さまざまな名前で呼ばれる。
検索ワード : Round conversation sofa、Circular banquette、Round banquette、Round sofa、Ovale confidant
🛋️ゴシップベンチ
ひとりがけの座部の隣に電話機が置けるサイズのテーブルや引き出し、マガジンラックなどが添えつけられたソファ。20世紀中頃の固定電話の時代に使われた。
検索ワード : Gossip bench、Telephone seat
🛋️ミニチュアソファ
アンティークの小型、ミニチュア家具はたまに見られるけど、大抵は子供部屋のための家具か、ドールハウス用の家具。現代ではペット用の家具も作られている。
検索ワード : miniature furniture
参考文献は下の特集記事の「家具やモチーフ」に載せている本ですので、気になった方はぜひ。

私が背景を楽しんで描いているのは、多分資料が大好きという性質によるところが大きい。 絵が上手い人はほぼみんな口を揃えて「資料を見ろ!」というので、私に限った話ではなく、上手い絵を描こうと思ったら資料の存在は絶対に欠かせないものだと思います。 そんなよく聞かれるおすすめの資料を40冊ほど厳選(?)し、 ・...
(前回からのコピペ)
今回の図版は資料としてぜひご活用いただければと思うのだけど、私の絵をそのまま真似するのではなく、自分で何枚か写真資料を集めてから描くことをお勧めします。
真似されるのが嫌というわけではなく、「絵を見ながら絵を描く」と、一度他人のフィルターを通したものを自分のフィルターに映すということで、結果的に描き手の意図が濁ってしまい上達の意味では悪手だと思うので……
特集記事は基本隔月更新なのだけど、7、8月が鬼忙しいので、次回記事は
・8月になにか家具以外の軽めの特集記事を組む
・家具辞典をコツコツ進めて9、10月に延期
のどちらかになる予定です。気長にお待ちいただければ……
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