霧深い山の奥、異変が起きていた。 木々が傾き、金属製の道具や電線が宙に浮く。カラスの群れが鳴き騒ぎ、動物たちは本能的に逃げ去っていく。 その中心――森の奥で巨大な影が蠢いた。 クワガタのような怪獣。その頭部にはU字磁石の角がそびえ、不気味な赤黒い光を放っている。 「ギギギ……ガガガ……!」 咆哮とともに、山中の廃材や鉄塔の部品が怪獣に引き寄せられ、装甲のようにまとわりついていく。 そこへ、降り立つもう一つの影。 金属の脚が地面を踏みしめ、冷たく鋭い視線が怪獣を捉える。 地球防衛機構の虎の子、対巨大怪獣用決戦兵器《ニャースガロン》! 銀白の装甲、黒く輝くボディ、しなやかな四肢、そして鋭き鋼鉄の爪。 ニャースガロンの機械音声が静かに響く。 「怪獣ニ対シテ先制攻撃ヲ開始シマス!」 両手の甲の光球体にエネルギーが収束し、鋭いビームが放たれた。 しかし―― ギィィィィン……!! マグネザウルスの角が放つ強烈な磁場が、ビームの軌道を歪め、四散させる。 「怪獣ノ能力?長期戦ハ不利カモ?ダッタラ……!」 ニャースガロンは即座に戦法を切り替え、強力な爪での直接攻撃に移る。 だが―― 「……っ!?コレハ……磁力!」 爪は寸前で弾かれ、逆に弾き飛ばされる。 そして、さらに強力な磁力が発せられた。 「シマッタ……!」 鋼鉄の脚が震え、機体の一部が異常な力で引っ張られる。装甲が歪み、爪が軋む音が響く。 「フンバレナイ……!」 抗うニャースガロン。しかし、磁力の虜となった鋼鉄の獣は、今まさに最大の試練を迎えようとしていた――。