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のほほんネコ
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いざその時が来ると意外と言葉が出ないもので

いざその時が来ると意外と言葉が出ないもので

用意してた言葉とかが全部建前に思えてしまう

ただただ涙を流すのも形だけな気がして、「ありがとう」や「さよなら」なんて言葉もどこか違うような気がする



きっと彼と過ごした数十年はたった数文字の言葉なんかじゃ言い表せなくて、だからこそたった一言も浮かばなかったのかもしれない



長く生きてきたわけでは無いけれど、それでも多少は長く生きいて

その数十年の中には何度か身近なものの死というものを体験した


最初はお世話になってた学童保育の人

相手の飲酒運転による高速道路での事故だったらしい

次の週にその先生と数人で魚を釣りに行こうと約束したその次の日の話だった


小5の時、僕が行事の旅行から帰ると祖父が危篤状態でそのまま病院に泊まった。その翌日亡くなった。祖父が最後に息を引き取る時、なんとなくそれを見たくなくて病室を出た。


もう一年も前になる。友達が死んだらしい。

きっとこの国では珍しく無い死因だった。

彼がなくなる数日前にメッセージが来てた。

まさか最後になるなんて思いもせず、なんてことないメッセージを返した。返信はなかった。


今朝、家の犬が亡くなった。家族だった。

寿命だった。

今日はなんとなく寝れなくて、布団に入っても2時間くらいは起きていた。

思えば、それがきっと最後だった。

クーラーがないので基本部屋の窓は開けている。外から鎖の擦れる音がするので

なんとなく二階から外を見ると寝れないのか何度も姿勢を変える彼がいた。


運命や予感なんて大した信じてはないけど、思えばそれがそうだった。


五分も経ってなかったと思う。それでもなんだか少しだけ長く彼を見てた。本当になんとなく。そして布団に戻って深く眠ることもなく、家族の泣き声で起きた。


あぁ、そういうことか。


運命や風の知らせとか小説じみたことは正直信じてない。実を言うともう先月の頭にはいつ亡くなってもおかしくない状態にあった。それでも病院に連れて行き、なんとかご飯を食べれるまでには回復した。でも今年の冬は越えられないだろう。数十年生きた彼にとっては当たり前の未来だったのかもしれない。


それでも今日、なんとなく彼を見た数分が印象的だった。



いざその時が来ると意外と言葉が出ないもので


「ありがとう」や「さよなら」


そのどれもがなんだか違う気がする


ただ一言「ごめんね」だけは生前から思っていて、ウチは裕福でもなければあげていた食べ物は決して最高級のものでもなかったし、それなりに大型な彼と家の中で過ごせたわけじゃなかった。

家族と言いつつ四六時中一緒にいるわけではなかったし、散歩だって少ない家庭だったと思う。

きっと彼にとって、もっといい生活というものはあっただろう。

だから「ごめんね」だけはもうずっと前から思っていた。別に口に出したりはしないけど。


「ありがとう」とか「さよなら」とかどこかドラマチックに語ってしまうのは生者のエゴだと思っている。

死んだものの気持ちとか、幸せだったかとか、そんなのは当人にしかわからない。

それを「彼は幸せだったよ」とか言ってしまうのは自分勝手だ。




僕は『生まれ変わり』とかは信じていなくて、結局は『今』が何より大事だと思ってる。前世もなければ来世もない。そんな贅沢なものはなくて、悲しいほどに『今』しかないから、僕らは生きていかなきゃいけない。


でももし、来世があるのなら


願わくはより良い『生』を送れることを。



そして僕は自分勝手な人間だから


「ありがとう」


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