郷土資料館の担当者:
「槍祭り」ですか。ええ、繁栄と豊穣の祈願ですよ。より正確に言うと、「多産と村の繁栄」でしょうか。
昔、この村が村として形になり始めたばかりの頃、子供がさっぱり産まれなくなってしまった時期がありましてね。現代では、当時の疫病と飢饉により女達が子を授かれなくなっていた、または産まれてもすぐに死んでしまっていたからであるといわれていますが、当時はそんなことわかりませんからね。村人達は、それは村の神への祈りと男達の生命力が足りないからなのだと思い、村を護る神への感謝と祈り、男達の生命力の鍛錬と誇示を目的として、こうした舞を始めたようです。当時はもう少し違った形の舞だったようですが、時代を経て、現在の形に落ち着いています。
御神体の"槍"は、戦火で一度焼失してしまい、今の"槍"は記録を元に戦後に造り直されたものです。
村の名士:
「槍祭り」ね。お察しの通りですよ。"槍"は"アレ"の隠喩です。
成り立ちの話は聞きました? 昔はもっと露骨でえげつなかったみたいですよ。"アレ"の大きさを比べ合ったり。村の真ん中、舞をしてる横で複数人がまぐわいをおっぱじめる……とかね。今じゃ考えられないでしょ。
昔は、"槍男"は選ばれた数人ではなく村の男全員だったんですよ。御神体も、担ぐんじゃなく村の真ん中に立てて、その周りを"槍男"が取り囲んで、押したりぶつかり合ったり、みたいなね。そうしてるうちにみんな興奮していくんです。ほら、もともと男の力強さを示す祭りですから。
最後に、御神体と一緒に褌を奉納するのもね、昔はなかったしきたりです。"槍男"の身に着けていたものも神に奉納するってことになってますが、本当のところ、祭りが終わるまで褌を脱がせない目的があるんじゃないかな。何せ昔は、男達は祭りの最中にみんな素っ裸になっちゃってたらしいからね。
今は観光客がいるし、いたって健全な伝統行事ですよ。その分「奉納の儀」は……いえ、何でもありません。「奉納の儀」の内容ですか? こればかりは村の秘伝ですのでちょっと……。いえ何、村の神の前で男の力強さと精力を一晩かけて示すだけですよ。