SamSuka
Jin(鬼頭ジン)
Jin(鬼頭ジン)

fanbox


CANDY’S 第1話「11の不思議なキャンディ」

「こんな所に呼び出して何か用かよ?」 「そうだよ! 何をするんですか、先生!?」 放課後のとある日の教室――そこには12人の人間がいた。体育教師の音田真澄こそが11人の生徒を呼び出した張本人である。 11人の生徒は一年から三年まで様々だった。 ゲーム研究部の冴えない少年、一年D組の内藤周。 風紀委員長の三年B組、福留砂佐。 女好きの御曹司、一年D組の井之頭司。 弱気で臆病な所為でクラスメイトにいじられている少年、二年A組の水戸良雄。 体は大きいが性格は大らか(悪く言ってしまうと『ノロマ』とも取れてしまうのだが)な性格の三年C組、平尾克己。 ウェイトリフティング部の主将、三年B組の植田真弘。 病弱で学校を休みがちな少年、二年C組の布川神威。 マサヒロの友人で同じくスポーツ仲間の三年A組所属宇佐美毅。 図書委員の本が好きな少年、一年A組の高取奚。 シュウのクラスメイトで活発な野球少年、一年D組の田村津。 そして勝手に乱入してきたがそれでもマスミ先生に何故か歓迎された不良の、二年E組、辻元陽介。 計11名の生徒と1名の教師、合わせて12人。その人数だけが夕日の差し込む静かな教室の中にいた。 「とりあえずまずはこれを見ろ」 その静寂を裂いたのはこの教室に呼び出した張本人、マスミ先生だった。 マスミ先生が取り出したそれはガラスの小ビン――に入っている色とりどりのキャンディだった。 「おっ、キャンディじゃねーか! 気が利くじゃん!」 「待て。まだダメだ」 早速ビンの中身に手をつけようとしたヨースケをマスミ先生が止めた。 「チェ、何だよこんなトコでもマジメぶんなっての」 いじけるヨースケを無視してマスミ先生は話を続けた。 「お前らを呼んだのは丁度よかったからだ。たまたま見かけた11人の生徒がお前らだったんだ」 マスミ先生は、唐突に何故彼がこの教室に自分たちを呼び出したのかを伝える。が、それは唐突すぎで理解に値しなかった。 「とりあえず……ここに11コのキャンディがある。ま、とにかくお前ら11人、一つだけ取って食え」 「おっしゃ待ってましたー! じゃ、オレからいただきっと」 先生の了承が出るや否や、喜び勇んでヨースケがいの一番にキャンディを取って口に入れる。 「ん? ソーダか、これ? まあ水色だったしそんなもんだろーな。じゃ、帰っていいか?」 「いや、待て。まだダメだ」 「は?」 帰ろうとするヨースケをマスミ先生は何故か呼び止める。 「まだ全員食ってないだろ。ほら、お前らも取れ」 「あっ、はい。分かりました」 他の生徒もそれに触発されるように次々とキャンディを取り口に入れていく。 「内藤は赤。布川は青。植田は白。福留はオレンジ。田村は紫。水戸は黄色。井之頭は茶色。高取は黒。宇佐美はピンク。平尾は緑か」 ブツブツと独り言を言うマスミ先生。何故か生徒が口に入れたキャンディの色をわざわざ確認しているようだった。生徒たちはそれを怪訝に思ったがわざわざそれを言う意味もない。と、そこまで気には留めなかった。 「……アメは美味かったけど……これ食わせて何がしたかったんですか?」 「そもそも、先生が菓子を持ってくるなど、生徒に悪影響では?」 「おいおい、お前も食ってただろ」 「それは……そうですけど……」 「だったらとやかく言うなよ。ほんとヘンな所でマジメだよな。サスケは」 些細な話が始まったかと思えばマスミ先生は「特にないよ。今は……いや、なんでもない。もう帰っていいぞ」とだけ言うといち早く教室を出て行った。 「何だ。もったいぶってつまんねーの」とヨースケも半ば呆れ気味に続けて出る。 「俺らも帰るか」 「うん、そうだねシン」 シュウとシンも教室を出る。この2人はクラスメイトである以上に幼なじみという関係でもあった。アウトドア派とインドア派の対象的な2人であったが、小学生の頃から仲が悪いということもなく良好な関係を築いていた。 いや……むしろ対象的だからこそ仲が良かったのかもしれないが。お互い違いタイプがゆえ惹かれ合うところも多かったのだろう。 クラスの中でもこの2人の仲の良さは有名だった。1-Dの凸凹コンビなんてからかわれたりもしたものの、2人は気にも留めなかった。 「お前何味だった?」 「僕はザクロ……かな?」 「ザクロか……珍しい味だな。俺はブドウだった」 2人は今日食べたキャンディの味を話し合ったりしながらお互いの帰路に行くのだった。 が……しかし、事件が起きたのはこの3日後の休日のことだった。 ◆ 「よっし!」 「ああ~またかよ~。やっぱお前ゲーム強えーよなー」 「これくらいしか取り柄ないけど……」 シュウとシンは、シンの家でゲームに興じていた。本日は部活も休みだったのでせっかくだからと色々なことを忘れて休日を満喫していた。 「んー、ゲームも飽きたな」 「まあ、そうだね」 「うーん、あっそうだ……お前にも見せてやんよ」 シンはニヤッと笑うと布団の下をまさぐり始める。布団からズルリと出たのは、一冊の本。女性の裸体が映されたエッチな本だった。年頃の男子なら誰もが読んでいるものだろう。 シンはお気に入りの本を開くと「ホラな、ここの女の子がまた……」と本の良さを語り出す……はずだった、のだが…… 「……ありゃ?」 シンは違和感を覚えた。いくら女性の裸を見ても興奮しないのだ。……どころか興味すら薄れているように感じる。この異変は敏感な思春期の少年には違和感として残った。 「……おかしいな?」 「何?」 「女の子の体見てもナンにも反応しねーの。インポになった覚えもねーのに」 「……僕もだよ。昨日からエッチなものを見ても何も思わないんだ。兄ちゃんから借りてたお気に入りのエロゲーにも手をつけてないし」 2人は同じタイミングで女性に対する興味が薄れていることを知った。これはナニかの病気なのか? とも思ったがあまりに突飛すぎて現実味がない。なら仕方ないとまたゲームに手をつけようとする――はず、だった。 だった。とは? どういう意味だと問われて返す答えは、“2人におかしな事が起きたからだ”と言わざるを得ないだろう。 「……ハァ……ハァ……」 「なんか……この部屋暑くないか……?」 2人はゲームのコントローラに手をつけようとした。つけようとしたのだ。が、しかしつけなかった。それどころではない体の熱が2人を侵していたからだ。 それは興奮による熱。脳内の物質が異常に分泌され肉体に作用しているようだった。 2人はいけないと思いつつ堪えていたものの……結局は我慢できずに服を一枚ずつ脱いでいた。しかし上着を脱いでも全く体の熱は収まらない。なら仕方なくと下も脱ぐ。2人は家の中とはいえパンツ一丁になりさすがに恥ずかしそうにしている。が、それでも、若い少年の柔肌を晒してもその体の熱は一行に収まる気配を見せなかった。 「んん……くそっ……何だこれ……あちぃ……あちぃよ……!」 「も、もうダメ……パ、パンツ脱いでい……いや、やっぱり何でもない」 「……いいぜ……俺も暑いんだ……」 そう脱衣を促したシンは、シュウの目も憚らず下着を脱いで放った。そこそこ大きなペニスが拘束を解かれ露わになった。 「はぁ……はぁ……」 単刀直入に言ってしまうと、シンは正常な判断ができなくなっていた。頭がおかしくなっていた。 友人に裸体を見せつける事に何の抵抗も見せはしていない。そのことに戸惑うシュウも、脳すら駆け巡る熱にあてられとうとう禁断の衣を脱ぎ捨てた。 2人は一糸纏わぬ姿で息のみを吐き出してていた。すでにエッチな本もゲームも眼中にはなかった。 「はっ……はっ……」 「うぅ……くっ……」 シュウとシンはお互いに自らのペニスを扱きはじめていた。周りに性的興奮を促すものなどないはずなのに。 いや、彼らにはそれがあった。それはお互いの裸――彼らは今まで興味すら持たなかった男の裸体に興奮を示していた。もはや理屈などそこには存在しなかった。 なぜ彼らはペニスを扱くのか? 扱きたいから。溜まった性欲を発散したいから。 今や2人はただの獣。理性などそこにはなく理が消え性のみを追い求める人のカタチをした野獣と化していた。否――“カタチだけはまた保っていられていた”。というべきだっただろうか? 「うっ!」 シュウもシンも同じタイミングに声をあげ精子を噴射した。それらはお互いの体にかかると腹や胸を汚した。 すると―― 「んっ……うぅおああぁああっ!!?」 突然素っ頓狂な声をあげたシュウ。その瞬間彼のペニスから発射されたそれ。それは精液ではなかった。というより、精液に似たナニか。赤色の粘液だった。 「んぶっ……! おうっ……」 液体はとてつもない粘性を持ちシュウの顔面へかかると、ゴムのような質感とゲルのような艶をもちながら身体中を侵食していく。 「はっ……うえっ! んんんんんっ!」 その液体は顔から、首、胸、脚へと拡がっていつしか全身を覆うタイツのように変化していた。 「はぁあ……あぁっ……」 「んおぅ……あァ……」 当然、身体中余すことなくタイツ姿と化したのはシュウだけではなくシンもだった。ただしひとつ違うのは色。全身赤色のゴムタイツに覆われているシュウに対してシンは紫色のゴムタイツに覆われていた。しかし、それ以外の違いは素体以外にはなく2人仲良くペニスをおっ勃てていた。 その2人に違いができるのもそんなに遅くはなかった。ヌチュヌチュと滑った音をたてながら少しずつ形を変えていくシュウとシンの肉体。精液の臭いがタイツから放たれ部屋をいっぱいにした。 「うう……」 シュウの肉体は口周りからはじまった。 鼻から口にかけてせり上がっていき同化するとそれは動物のマズルそのものと化していた。 足にかけて爪先が癒着していき形を変える。踵と爪先はグチョグチョと卑猥な音とともに一体化し蹄と化した。 頭に2本の角を生やしたと思うと耳が頭上に移動しぴょこんとゲル状の柔らかな耳になる。 タイツに2つ切れ目が入るとカッと見開かれる。そこに映った瞳はまさしくシュウのものであった。 シンの顔もシュウと同じく口が変化しマズルになる。だが、シュウのものより長く裂けた巨大なとのとなっている。 「うっ、ううっ」 シンは思わず頭を抱える。その押さえた指の間から紫色の角が生えていく。手足は大きく膨れ上がり指先が鋭い爪に変わったところでシンの変化は終わる。――かに思われた。が、それだけではなかった。 背中からグツグツと泡立つような奇妙な音がしそのまま体積を拡げていく。紫色の液体を飛ばしながら翼となりシンの背中に定着した。 2人の変化が終わったそこはフルーツの香料と精液の臭いが入り混じったとてつもない臭いを放つ空間となっていた。 「んん……」 「あっ……あれ……俺……?」 自我を2人が取り戻す頃には、2人の姿は変わり果てていた。シュウは頭と足が完全に牛のものと化したおり、それ以外は真っ赤なゴムのタイツに身を包んだ牛人間と呼べるものに。シンは頭、そして両手両足が強靭な龍そのものに変貌しており背中には立派な翼を翻す龍人と化していた。 「な、何だこれ……シン、ドラゴンみたい……」 「そういうシュウは牛みたいだぞ……しかもピッチピチで……なんかエロイ……カラダ自体は変わって……ねぇのに……」 シンはとてつもない欲求に見舞われていた。事が理解できず戸惑いの表情を見せるその牛顏の友人の、その突き出した口周りを味わってみたい。そんな抑えきれない欲求に。 「んん……うっ……はぁ……」 「ど、どうしたの? よ、様子が、おかしいよ……?」 顔はいかつい牛の顔。雄々しく逞しい牛の顔面。でも表情はいつもの気弱で大人しいシュウのままだ。それがとてつもなく愛おしく感じた。彼の困り顔を見ていると、なんというか、そのまま襲いたくなってしまうのだ。 昨日まではそんな感情は微塵も持ち合わせてはいなかったはずなのに。 (こいつの顔……完全に牛になってんのにシュウの面影残してんのが……たまんねぇ……) 「……キスしてぇ」 「えっ?」 「キスしてぇんだ。お前のその唇と、俺の唇をさ……合わせてぇんだよ!」 「ちょ、シ、シン!? 一体どうしたんだよ!?」 シン自体ドン引かれるとは思ってはいた。が、そんなシュウの顔も悪くなかった。いやむしろそのギャップに彼は興奮を覚えていた。それに、たまらなかったのは心だけではない。体もそうなのだった。 ツヤツヤのタイツに覆われたペニスがいまにも欲望を吐き出したがっている。木の実よろしくぶら下がっている紫色の陰嚢がプルプルと震えて果実の匂いを漂わせている。その匂いを嗅いでいると、シンはこの姿でいることに抵抗をおぼえなくなっていった。 ブドウの豊かな香りが脳を刺激し思考を妨げている。いやむしろ思考を丁度良いものに作り変えているかにも見えた。 「いいから……俺はお前が好きなんだよ。お前と種を交わしたいんだ。お前の……その……ザクロの匂いがたまんねぇんだよ!」 紫の龍人はカッと目を見開くと徐に唇を押し付けた。大きな腕はシュウの胸回りをがっしりと押さえている。骨が折れるくらい強く抱きしめたはずなのに、シュウからはミチミチという音だけが響いていた。 「む……ぐッ!?」 息が止まる。 大きな龍の口で自らの口を塞がれ呼吸すらままならなくなる。すぐさま滑り込んできたのはブドウ味のグミのような物体。弾力性がありそれが当たるたびに柔らかな食感とジューシーな果汁が口の中に弾けていく。 それを味わった瞬間思わず痰が絡んだような声をあげた。次にやってきたのは焼け付くような果実の香り。飲んだことはないのだが、言葉に表すと芳醇なワインを口にしたかのような刺激的で魅惑的な、そんな香りがシュウの鼻腔に拡がった。 「む……んぁあ……あぁ……」 シュウは不思議な気分になった。その匂いを嗅いでいると自らの持ち合わせていた警戒心や恐怖心と言ったものがどこか知らないところへ飛んでいくような、そんな気分にだ。 そして彼はその食感の正体が彼の舌そのものとということに気がついた。シンの舌が口の中で愛を求めて蠢いていたというとに。そう思った瞬間シュウにかけがえのない気持ちが溢れ出た。こんなにも僕を愛してくれている。何故かは知らないけれど、僕もシンの愛に応えたい。そんな甘く切ない気持ちでいっぱいに満たされる。 「ん……んっ……」 そう思った瞬間、シュウは行動に移していた。彼自身も積極的に舌を動かしシンの愛情表現を享受し応えていた。赤色の舌と紫色の舌が絡み合う。お互いの舌からはザクロ味とブドウ味の唾液が絡み合い独特のフレーバーを奏でていた。 「んぅっ……はぁ……」 口を離すと、舌から水飴のような銀色の糸がお互いの絡み合う精神を表しているかのように垂れる。それが、天を向いて盛んになっているペニスの亀頭を濡らしそれに触発されるかのようにいやらしい水音をたてた。 「あっ……僕、出る……」 「俺も……」 がばりと耐えられない興奮を慰めるかのように抱きしめ合う。口からはネバネバとした唾液が垂れ相手の背中を伝う。 キスと共に生み出された愛の糸はそのまま尿道にスルリと潜り込む。ペニスが大きく震えると、とうとうその時はやってきた。 「んひぃっ!」 今まで溜め込んでいたものがとうとう爆発した。それは封じられていた性欲やら欲望。それが2人の行為により解放された。色とりどりのペニスからは真っ白で生臭い人間だった頃のザーメンが噴き出した。それはとても濃厚で、それでも今のフルーツの香りを漂わせる獣には似つかわしくない臭いだった。 「臭せぇ……」 「でも悪く……ないよ……」 流れ出るザーメンの臭いを嗅いでいると、今まで女性に欲情していた事が馬鹿らしくなるほどの満足感が脳内を駆け巡った。それだけではない。楽しかった野球やゲームも物足りなくなるほどの中毒性も。もうこれなしではいられなくなるくらいの。 真っ白なザーメンを見ていると、頭の中も真っ白に塗り潰されていくような――そんな感覚に支配されていく。そして新たな人格が、カラフルな色をした人格が、新しく脳の中を、精神の中を綺麗に染めていく。 それは、整えられているが二度と元に戻す事はできないほど、しっかりとした色合いで2人の心を満たしていった。 「あぁ……シュウ……シュウ! 俺……!」 ……俺、こいつが大好きだ。もうそれでいい。くっせぇザーメンのニオイ。凄くいいニオイだ。でもこれはあくまで人間としての俺のザーメンでしかねえ。 シュウは言ってた。俺がドラゴンみてぇだって……じゃあ今の俺は人間じゃねぇってことだ。鏡とかまだ見てないから分かんねぇけどよ……翼とか角とか生えちゃってんだから間違いなく人間ではねぇってことだ。 だけど俺は間違いなく田村シンだ。シュウが大好きな幼なじみのシンそのものなんだ……でもこの姿は今の俺……じゃあやっぱドラゴンとしての俺が俺で、これが今の俺なら、俺はドラゴンの田村シンなんだ…… 勿論シュウだって、今は牛だ。牛の内藤シュウなんだ。それ以外のシュウなんてあり得ねえ。認めたくねえ。どんな姿になったって俺たちは愛し合えるんだ。いや、違うかも知れねぇ。 俺はこの姿になったから本当の愛を知れたんだ。性別なんて関係ねぇ本当の愛情に。 だったらもう俺はどんな姿にだって、どんな心にだってなっても構わねえ。たとえどんなにゼリーやスライムみたいにグチャグチャになったとしても、俺は俺なんだ。 俺はこいつを愛してる。俺はこいつが大好きだ。それなら俺は……俺…… 俺って、なんだったっけ? そうだ。俺様はドラゴンのシン。シュウを心から愛している龍。もうそれで構わない。 これから俺様はシュウを愛してやるんだ。シュウだって多分分かってくれるだろう。何故なら俺様達はずっと昔からの……友なのだから! 「シン……あぁ! シン! 僕は……!」 僕は、ずっとシンのこと分かってなかったのかもしれない。だって、僕たちは幼なじみで、昔からの友達だったんだから。 僕は子供の頃から多分他人の中で一番近い存在だった。だからお互いのこと知ってるように思ってた。だけどそれは分かってるつもりになってただけなんだ。僕は、今日それを知れたんだから。 だって――僕はシンがこんなに僕のことを愛していたなんて気にも留めてなかった。彼がこんなになるまでこの気持ちを知れてなかったんだ。あれ? でもその気持ちってどこからやってきたんだろう……? 僕は、彼の愛を知るたびに消極的だった自分に嫌気が差してくる。何をするにも弱気な僕は、ゲームぐらいしか打ち込むことなくて、それで分かってくれるのはシンだけだって、そうやって自分から逃げてたんだ。結局は僕はシンの事すら分からない人間になってたんだ。 だから僕は今日から牛になろう。今の僕の姿はどう見ても牛そのものなんだから。消極的な自分なんてもう懲り懲りだ。僕はシンの気持ちからも逃げてた臆病者だ。だからこそ僕は積極的に豪快に力強い牛になる。 弱い人間の内藤シュウはもうやめだ。今日から僕は……牛に……僕は……僕……僕とはなんだ? ワシは、真っ赤な情熱と愛情を持った牛。それ以外の感情など持ち合わせてはおらん。ほら、目の前に居るだろう。ワシが愛してやまない誇り高き龍の男が。 ワシは誰よりもシンを愛するミノタウロスのシュウ。これからワシはシュウの愛を受け愛を返してやるのだ。シンだって必ず分かってくれるだろう。何故ならワシ達はずっと昔からの……友なのだから! 「あぁ……愛しているよ、俺様は他の誰よりも貴様を愛している……そうだろう? ポミグラニットブル……シュウよ」 「ああ。ワシは他の誰よりもお前さんの理解者になりとう思うぞ。お前さんだって一緒だろう? グレープドラゴン……シンよ!」 膝を着き深く抱きしめ合う2人。いや、最早2匹と数えた方が正しいだろう。もはや人間だったころの内藤シュウと田村シンはこの世には存在しなかった。 そこにあったのは、赤色のミノタウロスと紫色のドラゴンがお互いの愛を確かめ合っている姿だけだった。 「さて、どちらが愛を注ごうか」 「無論、シンが注ぐ方だ。ワシは愛を受ける方が好きなのだ」 牛が四つん這いになり艶をもった尻をさらけ出す。そこには溢れ出る愛を享受したいという欲望で溢れていた。ペニスはぶらぶらと振り子のように揺れまるで行為を誘っているかのようだった。 龍はそれに応えるかのように大きく反り勃ったペニスを掲げる。そしてゆるりと、広がった穴に向かってそれを差し挿れた。 今までそのような経験は一度もなかった。にも関わらずそれらはまるでこなれているかのようにスムーズに入っていく。ヌチチチとゴムが擦れ合うような音が閑散とした部屋に響いた。 「ムオォウ……!」 シュウが声をあげると尻から透明な液体が漏れ出た。彼らから分泌される特殊な液体だ。独特な滑り気を持ったそれは一口でも口にすれば果実の香りと味が口の中に広がり頭を淫乱に変えてしまう。そしてそれはローションのような役割も持ち合わせていた。 それがペニスに触れると内部を滑らかにしさらに動きをスムーズにしてくれる。ヌチャヌチャといやらしい音をたてながらアナルの中のペニスはさらに動きを増していた。 「中からっ、突かれるたびに……っ! お前さんの愛が伝わってくるぞ……! ほら、ワシを気持ちよくしたいと! その力強さがワシを気持ちよくしている! それこそが、シンのっ……愛だぁ!」 「んっ…………ふっ……ふっ!」 艶のある真っ赤な顔をさらに真っ赤にするシュウ。ペニスで中を突かれるその快感は彼にとって至上の悦びであった。このお互いに繋がり合える今現在こそが、本当に心から愛し一緒になれる最高の場面であるから。 力強いペニスのひと突きを感じるたびに、シンが自分を愛したいのだ、自分をものにしたいのだと肉体を通じて理解できる。これ以上の悦びはなかった。それだけで彼は満足であった。 そのシンも、シュウの中に己の欲望の権化を挿れ犯す度に、自分がどれだけシュウのことを愛しているのか。どれだけお互い愛し合いたいのかを伝えることができる。その悦びで頭が一杯だった。 アナルの中のひんやりとした襞をペニスが通り刺激する度に、彼も自分を受け入れてくれているのだと快感と共に嬉しさがこみ上げてくる。 2匹は、人間の頃にゲームしている時よりも明らかに良い顔だった。本当の自分になれた気がして。本当の自分を解放できたような気がして。 そして何より――本当の意味で愛し合い分かり合えたのだと実感できたのが、2匹にとっては最高の感情だった。 「んおお! ヤベ、ヤベッ……ワシ、ケツだけでイッちまいそうだ!」 「ああ! 俺様もだ! イッちまえよ! だって俺様達は友だろう!? いや、そんな安っぽい言葉なんかじゃない! 分かるよな!?」 「ああ……分かるぞ……だから……ンモオオオオオオォッ!!」 ビュルルルルルルル! ブシュッ、ビュッ、ビューッ!! 強烈な臭いと音をたてながら濃厚なチンポミルクが噴射された。まるで搾乳のように勢いよくリズミカルに射精する。いつしかミルクを出すペニスは何故か段々と太く大きく変わっていった。 射精により経験値を得て成長していくかのように肥大していくシュウのペニス。その経験値を溜め込んでいるかのように陰嚢の中の睾丸も大きさと重さを増していく。最終的に棍棒のように太く立派になった陰茎と、真っ赤に熟した木の実のようにぶらさがっている巨大な陰嚢がそこにはあった。 濃厚で真っ白だったザーメンは、流れ出るたびに赤みがかかったような色に変わっていく。プルプルと弾力をもちはじめた赤色のザーメンは、色が透明に透き通る頃にはゼリーのような質感に。いや、ゼリーそのものと呼べるかのようなものになっていた。 それより何より、最も変わったのはそのゲーム三昧で鍛えられてもいなく貧相だった肉体だった。 ムクムクと膨れ上がりスポーツマン顔負けの肩幅になったかと思うと、それに合わせて胸筋が発達していく。両腕をグッと持ち上げ腋を締めると腕が盛り上がり立派になった胸筋をさらに彩るかのような太く大きな腕と化した。 平べったかった腹筋は上から丁寧に鍛えられ割れていくと6つどころか8つの大きく分厚い腹筋に――そこからプックリと柔らかな突起が浮き出たと思うとそれは新たな乳首となり腹筋を彩った。 最後に蹄の先からボコボコと脚が隆起してゆく。大きく変貌した上半身をしっかりと支えられるように下半身も其れ相応に発達。大地を一晩中走り続けても大丈夫そうな強靭な脚が誕生した。 「フシューッ……ブルルルル……!」 「す、すごく良い肉体だ。これが本当のシュウの……んっ!」 その立派に発達した牛人の肉体を目にした瞬間、シンの中の抑えきれぬ感情が爆発した。とうとうアナルの中にザーメンを解き放ったのだ。 「んあぁ! お、俺様のすべてを持っていくかのようなこの感覚! も、もう……俺様は……ヌガアアアアアアァッ!」 ブシュッ、とシュウのアナルの入り口から漏れ出たのは白いザーメン。よく見るとザーメンが床にかかる度、シンの股間にぶら下がっていた陰嚢が段々と縮み吸収されてゆく。白かったシンのザーメンが紫色のゼリーのようなものになる頃、シンの陰嚢は完全に股間からは姿を消していた。 その瞬間ムクムクとシンの肉体が全体的に膨れ上がっていく。胸筋がグバッと大きく分厚くなっていくと同じく腕と脚も統一的に太く巨大になっていった。 首が胴体手足に負けず劣らず太く変わるとなんと首が伸びていく。そこまで長くはならなかったものの、以前とは比べものにならないほどのものになっていた。 「んぐぅ……」 ズルリとアナルから引っこ抜かれたペニスは、トゲが生え槍の先のように尖っている異議のものとなっていた。何本にもささくれ立つトゲの先端からは紫色の粘液が一本一本余すことなく漏れ出ていた。 ペニスの根元がパックリと割れるとそこへペニスがするすると収納されていき、最終的には逸物などなかったかのようにつるりとした平面になっていた。射精の時にペニスの形状も変化したのだろう。 「んぐっ!」 「んおぅっ!」 2匹はビクンと一回震えるとその瞳がグルンと半周すると白目を剥き静止した。尾骶骨のあたりがグツグツと音をたてながら泡立っていく。その泡は広がり弾け新たな物質を形作っていく。 いつしかそれは細くしなやかな牛の尻尾に。またそれは太く強靭で巨大な龍の尻尾になり何もない空間をブルンと振るった。 「……んおっ」 「……んぐっ」 透明な液体を撒き散らかし割れ目から再びトゲ付きのペニスが飛び出る。 そしてお互い一発ゼリーのようなザーメンを発射すると、グリンと再び瞳がシュウとシンの目の中に戻る。 しかしそれは前のように人間だった頃の瞳ではなかった。シュウは大きなヒスイのような瞳に。シンは縦に光彩が入ったトパーズのような瞳に。それぞれ色と形を変えていた。 「……はっ、ワシは、一体何を……」 「……何でもいいじゃないか。さあ、続きをやろう」 「おう! ……そうだな! シンよ!」 シュウとシンは行為を再開した。ゴムに覆われた大きな筋肉同士が絡み合い淫靡な音をたてる。そこにふと現れたのは一匹の小さな白いネズミだった。 「フフ……楽しんでいるようでちゅね」 「ムゥ、何だお前さんは。ワシらのやってることがわからんのか?」 「わかりまちゅよ。だってオイラもキミたちの仲間なんでちゅから」 フフン、とふんぞり返るネズミ。シュウとシンはそれに理解が及ばない。はずであったのだが、彼の言っていることが何と無く理解できる気もしていた。それが何故なのかまでは分からなかったのだが。それは生まれ変わって間もないからなのだろうとなぜか納得していた。 「オイラはネズミ。ミルクマウスのマスミといいまちゅ。キミたちは2、3匹目覚醒者なんでちゅよ」 マスミ――その名を聞いてようやく2匹は理解した。何故自分達があの時呼ばれたのか。何故あのキャンディを食べさせられたのかを。 「……もしやお前さん、マスミ先生なのか?」 「先生はやめてくだちゃい。今のオイラはただのしがないネズミなんでちゅから!」 「もしかして俺様やシュウにあのキャンディを食わせたのは……」 「うん、このためでちゅよ。オイラの仲間を増やすためでちゅ。何故ならキミ達は……」 「スイートアニマルズに選ばれた人間なのでちゅから!」 マスミ先生……いや、ネズミのマスミから放たれた言葉。そして同じくキャンディを口にしたはずの残りの9人。新たに牛。そして龍に覚醒した2匹を待ち受けているのは、果たしてどんな未来なのだろうか。今の2匹には知る由もなかった。


More Creators