HERO CITY
Added 2019-08-31 21:21:55 +0000 UTCそれは遥か遠い未来の話。今から100年以上先の世界はすっかり様変わりしていた。西暦22XX年の地球では、かつては人間の理想の産物であった“ヒーロー”という存在が実現し様々な場所で活躍していた。 超常的な能力を持ち正義のために人々を悪の魔の手から守る。そんな架空の中の存在だった異能の者たちがこの世界では間違いなく存在し、その力を平和のために振るっていた。 そんなヒーローは、人類の科学の進歩で誕生したわけではなかった。神の所業としかいえないようなそんな超常的な現象により、普通の人間だった者たちが世界を守る英雄として覚醒していったのだった。中では見た目や性格がまるっきり変わってしまった者たちもいたが、本人達は強大な力と正義の心を持ったことに感謝し、困惑することなど誰一人としていなかった。 英雄とならなかった人々も世界を守る存在、そして子供の頃の憧れだった存在を目の当たりにし歓喜のままそれを受け入れていった。そしていつしか、普通だった世界は英雄が闊歩する世界へと変わっていったのだった。しかし、その世界に存在したのは正義の味方だけではなかった…… 「お父さん、僕今日お子様ランチがいい!」 「じゃあ俺はハンバーグにしようかな」 「あっ、お父さん! 僕もハンバーグ食べたい! 少しお父さんのちょうだい!」 「お子様ランチについてるだろ」 それは何気ない親と子のやりとりだった。英雄がいる世界だが、当然普通の人間もいる。会社員の埴岡聖洋。そして息子の龍。この親子はその中の二人でしかなかった。二人の母、そして妻にあたる女性が同窓会の旅行に行っておりたまには父子水入らずで遊びに行こうということになり、今まさにその最中なのだった。 今まさに幸せの絶頂にいる親子二人。そんな二人に悪の魔の手が忍び寄ろうとしていた―― ドッカーン! 近辺でそんな大きな爆発音がする。耳をつんざくその音と爆発の衝撃による風圧に二人は思わず体を屈める。 「お父さん!」 「くそっ! 何でこんな時に!」 爆発とともに街中にサイレンが鳴り響いた。政府より世界中に取り付けられた警報である。とある一定の状況が起こることによりこのサイレンは鳴り響く。その状況とは、人類を脅かす存在が現れた時であった。 「クハハハ! ここら一帯は我らビースト帝国が支配する! 殺されたくなかったらここを退くことだなぁ!」 街中にやかましく声が響く。上を見上げるとビルの上に漆黒の服とマントを纏った男がいた。その姿はチーターと人間を合わせたような姿をしており、その姿はまさしく獣人と呼ぶに相応しき姿であった。 「我は帝国幹部の一人、マッハ豹道! 帝王の命によりここら一帯を貰い受けにここまできた次第である!」 彼は“怪人”という存在であった。ヒーローが架空の存在だった頃、 ヒーローの敵として位置付けられていた異形の者。ヒーローが誕生しはじめた数年後に怪人もまたこの世界に現れはじめたのだ。 とある者の証言によると、家族が急に苦しみを訴えはじめ異形の姿に変わってしまい、訳の分からないことを口走りながら暴れ始めたという。つまりは怪人もヒーローと同じで元はただの人間だったということなのだろう。 神はどうしてヒーローだけではなく怪人まで生み出す気になったのだろうか。当時メディアではそれらの現象を『神のヒーローごっこ』と称していた。しかしそれらを主張していたメディアやマスコミは――ここから先は説明しない方が良いのかもしれない。 「ふざけるな! 怪人なんかの命令なんか聞けるか! お前らなんかすぐヒーローがやっつけてくれるんだからな!」 群衆の中にいた一人の学生が豹道に向かって叫んだ。豹道はそれを聞いてくつくつと笑う。まるでヒーローなど歯牙にもかけぬといった様子だ。 「クハハ、威勢がいいな。しかしこれを浴びてもそう言っていられるかな?」 豹道はそう言うと銃を取り出した。それは、SF映画に登場するような近未来的な光線銃だった。豹道は銃口を先程の青年に向けると、ためらわず引き金を引いた。 「うわぁ!」 「!?」 光線を浴びた青年は叫び声をあげると同時にその肉体が急速に盛り上がりはじめた。筋肉が異様に発達しその背丈を伸ばしていく。服が破れぼろきれと化す頃には身体中に茶褐色の毛がみちみちと生えていく…… 顔面は突き出しながらマズルとなり手と足は変形し蹄となった。黒い髪は脱色しながら伸びはじめ、最後には真っ白な鬣となった。 青年は変化が終わると「ブルルル……」と嘶き凛とした目で豹道を見つめた。 「私は本日よりビースト帝国の戦闘員として生まれ変わりました! 私を変えてくださりありがとうございます豹道様!」 胸に蹄をやり敬礼する馬男。彼はかつて学生だった者だった。豹道に反抗していたその面影はもはや微塵もなかった。 「次に戦闘員に変えて欲しい者は名乗り出るがよい。我らビースト帝国は来る者拒まず去る者逃さずの精神だ。まあ、去る者など存在しないのだがな」 豹道はそう宣言すると再度群衆に銃を向ける。群衆はたまらず蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。しかし…… 「去る者逃さずと言ったろう!」 豹道は逃げ惑う群衆に光線を放ちはじめた。逃走適わず光線を浴びる人間……それらはたちまち犬、猫、熊、狸、豚など様々な動物人間に変わっていった。そして踵を返し一人残らず豹道に忠誠の意思を見せるのだった。 「これで帝王様もさぞお喜びになることであろう。さて、戦闘員どもよ! 残りの人間をひっとらえよ!」 「了解!」 ―――― 「はあっ、はあっ……」 ビースト帝国の魔の手から奇跡的に逃れることのできた聖洋と龍は、怪人の目に届かない暗い路地にいた。思わぬ出来事に龍は隅で震えていた。 「怖いよ、お父さん……」 「大丈夫だ。俺が守ってやるから……くそっ、ヒーローは一体何してんだよ!」 半ば八つ当たりのようにヒーローを責める聖洋。本人もそれが理不尽であることはわかっていた。しかし自分はそれより理不尽な目にあっている……そんな感情に苛まれてしまいどうにも感情のコントロールがきかなかった。 聖洋は思った。もし自分がヒーローだったら、子供を守れるのに、人々を守れるのにと…… 「ちくしょう、何で俺はヒーローじゃないんだ……!」 聖洋はやりきれない気持ちをコンクリートの地面にぶつけた。その時、奇跡が起きた。 ――その望み、叶えよう。 聖洋は自分でもない、龍でもない、男の声を聴いた気がした。目をやるとそこにはやはり息子の龍がいるだけで他に人が居る気配はない。 ――見間違いだったのか? そう思った次の瞬間、龍の体に異変が起きている事に気がついた。 「ううっ……ううう……!」 蹲りながら小さなうめき声をあげる龍。何事かと思い近寄ってみたその時、龍の肉体が急速に膨らみはじめた! バリバリッ! 布を勢いよく裂く音がして服が破けていく。肉体の急成長に耐えきれずその形を保てなくなっていた。 「いっ、いだい……うがあああぁアァッ!」 膨らんでいるのは体だけでなかった。未発達だった体の筋肉という筋肉が発達、膨張しスポーツマンも顔負けのものとなっていく。無垢だった子供が大きく悍ましく変貌していくその姿に聖洋はただ困惑するしかなかった。 「どういうことなんだよ……俺の龍が……」 龍の変化はそれだけではなかった。踵の形が変わり常に爪先で立つような体勢となり口周りは前にぐんぐんと伸びていく。いつしか龍の口は大きなマズルとなり幾つもの鋭い牙が乳歯の代わりに生え変わっていく。 爪は物を破壊できるよう大きく鋭く伸びる。艶々とした黒髪は伸びながら質感を変えていきまるで棘のようなスカイブルーの鬣となっていった。 彼がまだ子供出会った頃の名残である絹のような素肌もコバルトブルーの鱗に覆われてその面影を失くしていく。鱗が全身をびっしりと覆う頃、ジュル! と気味の悪い音ともに長く太い尻尾が生えた。今の龍その姿は、自分の名前の元になった空想上の生物、龍にそっくりだった。 「あっ……ああっ……」 龍――というよりも龍人と呼ぶべき姿になった龍は、自分自身の変化に適応できず困惑の表情を浮かべまだ小さく呻いている。 「りゅ、龍……うあっ!」 そんな龍の変化に驚愕していた聖洋にもまた、変化が訪れる。聖洋の体が突如金色の光に包まれたのだ。 「何だこれっ……うあああああ!」 聖洋の体が光とともに変化していく。まず179cmもあった体が急速に縮みはじめる。その間にとうの昔に声変わりして低くなっていた声が高くなっていく。 ぼさぼさとした黒髪や髭が、光に溶けて消えていく。その代替と言わんばかりに金色に輝くふわふわとした体毛が全身に生えそろっていった。 変化はそれだけではなかった。手足は縮み腹はぽっこりと膨らみはじめる。無骨だったその顔は、まるで宝石のような、クリクリとしたつぶらな瞳と、小さな黒い鼻に変形し口は小さいながらもマズル形成した。 耳は上に伸びていきピョコンと長く垂れたと思うと、付け根に藍色の宝石のアクセサリーが装着される。 ふわふわの小さな尻尾が聖洋の臀部から生えると、締めと言わんばかりに首にブルーのリボンがつけられて聖洋の変化は完了した。その時間は龍の時と違い一瞬で終わった。 「お……お父さん、お父さんなの?」 「りゅ、龍こそ、その姿は……」 ――龍、聖洋。お前達は、地球を守るヒーローとなったのだ。これから地球のために悪と戦うのだ…… 「えっ……」 困惑を隠しきれない二人に突然声が聞こえた。そしてその声はこういった。自分達はヒーローになったのだ。と。 「ヒーロー、だって……?」 「そっ、そんな事言われても……僕どうしたら……」 二人はお互いの目を見合わせる。まるでドラゴニュートのような、洗練された筋骨隆々な肉体を持つ龍人と化した龍に対し、魔法少女のマスコットの妖精のような姿と化した聖洋。今の二人はどちらが親で子なのか分かったものではなかった。 「お父さん、かわいい。ウサギさんみたい」 「龍こそかっこいいぞ。ドラゴンだ」 「お父さん、僕許せないよ。他の人を動物に変えちゃったあいつが」 「ああ……俺もだ」 ◆ 「クハハハァ! 人間など我らの敵ではない! この地球は我ら獣が支配するに相応しいのだ!」 街では粗方の人間を部下へと変化させた豹道が高らかに笑っていた。ヒーローは未だに現れず町は壊滅へと陥れられようとしている。そんな時、彼らが現れた。 「……」 「お? 貴様らは一体何者だ? 我らの仲間か、それとも……」 「変身!」 豹道の声を遮るように、龍が叫んだ。すると聖洋の首のリボンが解かれると、龍の体に光の帯となって巻きついていく。そしてリボンは、龍の肉体を覆うラバースーツとなった。腰にはサファイアをあしらった剣が顕現する。これがヒーローとなった龍の武器だった。 「君は、悪くなかった人たちを動物に変えた……だから僕は君を許さない! ヒーローとして、僕が君を倒す!」 龍は剣を抜くと、豹道にそう宣言した。 豹道は再びくつくつと笑い龍と同じようにマントから剣を取り出す。 「とうとう現れたか、ヒーロー。面白い、この我にどこまで通用するのか、確かめさせてもらおうか」 そう言うと、その空間から消え去るかのように豹道の姿がかき消えた。龍は一瞬驚いたが、ヒーローと化し強化された己の感覚が彼は物凄い速さで走っているのだと気付かせた。しかし頭の中では理解していても目測ではやはり奴を捉えることはできなかった。 「くそっ! 速すぎて見えない!」 破れかぶれに剣を構えガードの体勢を取る龍。その瞬間、剣に重くのしかかる衝撃がやってくるのを感じた。目の前で豹道が剣を振り抜いていたのだ。 「ぐっ、もし守ってなかったら……」 「惜しい、あと少しで真っ二つにできたものを」 龍は力いっぱいに剣を振り抜き豹道の剣撃を弾き返す。豹道はその衝撃で大きく後ろに仰け反った。 「ほう……中々のパワーだな」 しかし、すぐに再び姿を消してしまった。彼はまだまだ余裕のようだった。 「くそ……このままじゃ!」 「龍!」 「お父さん!」 焦る龍。そんな彼の後ろから父親の声が聞こえた。その声は男の子のようでもあり、女の子のようでもある可愛らしい声。しかしいつもの自分の心強い父親の声だった。 「お前はじっと前だけ見てるんだ! いつあいつが攻撃してきてもいいように、がっしりと構えるんだ!」 「そんな事言われても、見えなきゃ意味ないよ!」 「俺には見えるんだよ! 速く動くやつの動きがしっかりと!」 「えっ?」 「これが俺の能力なんだきっと……この体は戦う力は持ってないが、お前を助けることはできるんだ! だからここは俺の言うことを聞いてくれ!」 「う、うん!」 龍は聖洋の言葉通り、前を向き静かに剣を構える。前をしっかり見つめ、耳を傾け親の声を聞く。ふわりと風が頬をかすめた時、後ろから「後ろだ!」と声がした。 「くっ!」 言われるがまま後ろに剣を振り抜く。そのには後頭部めがけ剣を向けている豹道の姿があった。刃同士がぶつかり合い火花を放つ。 「なかなかやるな、だがっ!」 「また消えた!」 「奴はジャンプしたんだ! 上だ、龍!」 龍は聖洋の声に反応し、無意識に上空に剣先を突き出した。赤く生暖かい液体が龍の顔を流れ落ちる。町に鉄の臭いが漂い始めた…… 「……見事、だ」 ―――― 「なんとか倒せたね……」 「ああ……」 「僕、実はヒーローに憧れてたんだ。かっこよくて強くて……でも、これからやっていけるのか不安になって来ちゃった……」 「大丈夫だ、俺が守ってやる」 「お父さん……」 豹道を倒した後、指示役を失った動物戦闘員は逃げ出し、街は先程の騒ぎが嘘かのように静かになっていた。二人の目の前には二人の勝利を称えるかのように真っ赤な夕焼けが輝いていた。 俯く龍、そしてその龍に抱き抱えられ夕日を見つめる聖洋。二人は初めての戦いを経験しこれからどうするか、そしてどうなるか分からない未来にただ不安を覚えるだけだった。 「これいつ戻れるんだ?」 「分からない……」 「戻れなかったら困るな……仕事もできないし。ヒーローで飯なんて食えんのか? そもそもヒーローって仕事なのかどうかも分からないんだが……」 「……」 考え込む聖洋。そしてその後ろで龍は、ただ一点を見つめていた。それは自分の股座の天に向かって突き出ている逸物だった。 「これ、おちんちん……? 赤くてトゲトゲしてて、柔らかい……」 気になった龍は、好奇心のあまりその逸物を触ってみたのだが…… 「ふあっ!」 小さく声をあげる龍。触れるたびに脳にビリッと電気が流れるような感覚が走る。初めての快感に龍は酔いしれる。そしてこうも思った。『握ってみたらどれだけ気持ちいいのだろう』と。 ただそれだけだった。それだけでやめようと思った。そそり立つ真っ赤なペニスを、龍は掌で包み込むように握った。 「んんっ!」 脳内に痺れるような快感。ふわりとした感覚。それが龍が味わった感覚だった。握るだけでこんなにも甘い快楽がやってくるのだ。彼の性にも疎い幼い精神が堪えられるはずもなかった。 本能のままゴシゴシと手を上下させペニスを扱く龍。あっという間に絶頂を迎え、うっと声をあげるとペニスから黄ばんだ濃い精液がビュルルと飛び出した。 「き、気持ちいい……すげえ……ちんちんってこんなに気持ちよかったんだ……」 「何をやってるんですかピョン? ご主人様!」 「え?」 快楽に酔いしれている龍の前にぴょこんと座っていたのは、ヒーローの姿をした父親だった。しかしその顔はあどけなく自分を見つめている。まるで何が起きているか分からないかのように。 「お父さん!? こっ、これは何でもなくて……」 「この匂い……ご主人様、オナニーしてたんですかピョン?」 「これはっ! ……ってお父さん、何でそんな変な喋り方してるの?」 龍は、聖洋の様子がおかしいことに気がついた。先程まで普通に喋っていたのに今は敬語で喋っているのだ。しかもピョンという語尾まで付けている。ウサギの要請というその姿に相応しい喋りではあるが、元々中年男性だった彼が急にこのような喋り方をするはずはなかった。しかも自分のことを『ご主人様』と呼んでいる。だからこそ龍はその口調の変化に困惑した。 「何のことですピョン? ボクはずっとこの喋り方ですピョン」 「何言ってるの……さっきまでふつうに喋ってたよね。お父さん……?」 「お父さん? 違うピョン。ボクはご主人様のパートナーで妖精ヒーローのバニィですピョン!」 聖洋は、自分が父親であったことも忘れているようだった。しかも自分のことを埴岡聖洋ではなくバニィと名乗っている。まるで人格がまるごとその姿に相応しいものに入れ替わってしまっているかのようだった。 「それよりも、ご主人様さっき抜いたのにまだ勃ってますピョン。きっと“たまって”るんですピョン。そういう時はボクの出番ですピョン」 「えっ!?」 ふと下を見ると先程射精した自分のペニスがあった。あいも変わらずビンビンに天に向かって突き立っている。 「ボクが慰めてあげますピョン。これもボクの役目ですからピョン」 「ちょっと……やめてよ!」 バニィが体を寄せ顔を近づける。その時金色の体毛からかすかに栗の花の臭いがしたが、龍にはこの臭いが何の臭いかはいまいちよく分からなかった。 「はむっ」 「ーーーーッ!!」 バニィは龍のペニスに顔を近づけると、そのままアイスを舐めるかのように口に頬張った。 ピチャピチャと音を立てて柔らかな舌が龍のペニスを撫ぜる。ぬめぬめとした唾液が柔らかな舌と絡み合って龍の欲情をさらに刺激する。 「やっ、やだ、くすぐったい! 気持ちいい! 出ちゃう! やめてお父さん!」 「我慢は体に毒ですピョン。そのまま出してくださいピョン。そしてそれはボクの力にもなりますピョン」 バニィの口から透明な糸が垂れる。そのまま口に溢れた唾液と舌の刺激で抽出された龍のカウパー液を口内で撹拌すると、ふたたび龍のペニスを口に含みはじめた。 「んんんっ! うっ、ふあっ!」 「ん……ごひゅひんひゃまのっ、おいひいヒョン……」 唾液のローションと舌の合わせ技は精通を経験してから間もない龍の体には刺激が強すぎた。性欲を刺激されあっという間に絶頂に追いやられる。 「あっ……も、もうダメ……」 絶頂が限界に達しペニスからふたたび射精する! ……という寸前のところで刺激は突然止んだ。体の火照りを残したまま龍は肩で息をする。龍の心には中途半端に行為が終わったことによる残念感が残った。やめてほしかったはずなのに、やめてほしくない。そんな複雑な感情が龍にはあった。 「お、お父さん……?」 「くっ、あと……少し……プビュブルルルルルルルルルルルルルルルゥ!」 「お父さん!?」 目の前で起きた出来事に龍は慄いた。そこには首をめちゃくちゃに振りながら唇を震わせ奇声をあげるバニィの姿があった。 「プルルルルルルルルルルルルルル!」 「ねえ、お父さん! どうしたの! 返事をしてよ!」 バニィは龍の腕の中でめちゃくちゃに体を振り回し暴れている。ガクガクと体を揺らし何かに抵抗するかのように。数分して、ようやくバニィの動きは止まった。 「はぁ……はぁ……」 「お父さん、大丈夫……?」 龍に抱かれ息を荒げるしかできないバニィ。体越しから心臓の鳴る音が聴こえている。ドクンドクンと小刻みにビートを鳴らす心臓は、恐怖で驚いた時に鳴らすリズムと同じものだった。 「りゅ、龍……抜くなよ……」 「抜くって?」 「射精するなってことだよ! 俺はお前を射精させようとしてた! 射精を続けたらお前がお前じゃなくなっちまうかも知れねえのに!」 頭を抱え龍の胸に顔を埋めるバニィ。いや、その口調は再び聖洋のものに戻っていた。 「でもさっきお父さんが僕のちんちんを……」 「あれは俺であって俺じゃ! ……ない…… ……多分、射精したらダメなんだ。ヒーローとしての人格が俺を追い出そうとしてるんだ……だから俺にフェラされても、お前は絶対に……プルルルルルルルルルルルルルゥ!」 顔を埋めていた聖洋がまた体を暴れさせはじめる。まるで何かに取り憑かれているかのようで不気味だった。 ひとしきり体を暴れさせた後、再び唐突に動きが止まる。聖洋の口からはおびただしい量の涎が溢れていた。 「ちっ、余計なことを……ここまで抵抗するとは思わなかったぞ…………さて、さっきボクが言ったことは気にしないでくださいピョン。さあ、続きを始めましょうご主人様!」 「えっ、でもさっきはするなって……」 「いいから続きをやりましょうピョン」 聖洋は再びバニィの口調となりフェラチオを続行する。それは先程まではウォーミングアップだったかとでもいうかのような激しいものだった。ペニスの中のものを吸い取ってしまうかのような強烈なバキュームに龍は堪えられるはずもなく、龍はあっという間に射精してしまった。今回は寸止めではなくしっかりと出し切った。龍はそれに安心感を覚えていた。するなとは言われても我慢できなかった。 「ああ……出しちゃった……でも……」 「気持ちいいですピョン?」 「……うん」 「……ん」 バニィは龍のマズルにキスをする。下を絡ませて先程口に含んだ彼自身の精を流し込む。唾液と唾液が交換され、二人の唾液入りの精がバニィの中に取り込まれた。 「……しょっぱいよ」 「それがいいんですピョン」 「さて、次は“ココ”に挿れてほしいですピョン。ボクはご主人様の精を取り込み力に変え、その力をご主人様に分け与え力にすることができる…… ボクらは二人で一つなんですピョン。こうすることで、ボクらはきっともっと強くなる。ヒーローとしてもっと強くなれるんだピョン」 「……」 龍は、バニィの言われるがままペニスを小さな穴に入れた。それは大きさに反してすんなりとそれなりに大きなペニスを咥えこんだ。龍は、バニィぬいぐるみのようにふわふわとしていて、それでいてヌメヌメとした独特な感覚を味わう。その瞬間彼は、これ以外の穴では満足できないようになってしまった。 「お父さん……ラビィの中、気持ちいい……」 「“ボク”を知っちゃうと、もう他のモノではいけませんピョン。ご主人様のちんちんも、大きくて気持ちいいですピョン」 龍は思わずオナニーの要領で体をストロークさせる。オナニーの時の快感が、あの時の絶頂が龍の体に性をしっかりと刻み込ませていた。 「あんっ、あん!」 わざとらしくやかましく喘ぐバニィ。龍はそんなバニィの声を聴いていると、バニィをぐちゃぐちゃに犯したくて仕方なくなった。愛するパートナーを力でねじ伏せたくてたまらなくなった。 「良い声で啼くな。もっとやってほしいか」 「染まってきたな……はい、もっとやってほしいですピョン」 「いい度胸だ! もっとグッチャグチャに犯してやるよ!」 セックスしながら高らかに宣言する龍。尻穴を蹂躙するその前後移動は、龍の感情が昂るたびに早く力強くなっていく。パンッパンッと腿と尻がぶつかる音が夕焼け空の町に響く。 「プルルルルルルルルルルルルルルルゥ!」 そんな時、再びバニィは首をめちゃくちゃに振り、人格を聖洋のものに交代させた。龍を守りたいという聖洋の意思がバニィの支配を一時的に打ち破ったのだ。 「やっ、やめろ! 目を覚ませ! 戻れなくなるぞ! 俺もっ、お前も!」 「黙れバニィ。お前が私に口を利いていいのは性行為の時以外だ」 聖洋は必死に訴えるも龍は冷たい声でそう返すだけだった。いつもの龍の優しげな表情は跡形もなくなっていた。凛としてそれでいて荘厳で、物静かな雰囲気を彼は纏っていた。そこで聖洋は悟った。龍もヒーローとしての人格が目覚めつつあるのだと。 「はあっ、はぁ……! い、イク! イっちまう! 嫌だ! 俺は、一生こんな姿で生きるなんて御免だ! 目を覚ましてくれ龍! お前は俺の大事な息子……んああんっ!」 聖洋の訴えは強烈な突きと快感によってかき消される。それからも必死に説得を試みたものの、いつしか可愛らしい媚びた声色で甘い喘ぎ声をあげることが多くなっていった。 「ラビィ……私はお前の息子などではない。仲間。そして相棒だ」 「あん! あんっ! 違う、俺は、お前はっ、プルルルルルルルル!」 再び聖洋の人格が入れ替わった。尻穴を刺激されながら体をめちゃくちゃに振り回す聖洋。そして一瞬人格がラビィへと交代した――と思った瞬間再び奇声をあげ人格を聖洋へと戻した。どうやら二人の精神が肉体を取り合っているらしい。父親として、パートナーとして、両方とも相当精神力が強いらしくその力関係は拮抗していた。 「目を覚ましてくれ! 俺はまだお前と……プルルルルルル! うるさい! お前は器でしかないんだピョン! ただの人間に地球が守れるか! プルルルルルルゥ! 地球なんかどうでもいい! 俺が守りたいのは家族だ! プルルルルルルッ! 家族などヒーローがいなければ怪人に蹂躙される存在ピョン! それを守るためにボクらがいるんだピョン! これは譲れないピョ……プルルルルルル」 「やかましい……僕は、僕はっ、意識が混濁して……混ざってる、助けて! 助けを求める者を救うのが私達の使命。だからこそ、僕たちは、射精して、心を一つに……」 お互い、元の人間として、そしてヒーローとしての人格が影響しはじめている。そんな中二人は今まで活躍してきたヒーローもこうやって自らを変えられてしまったのだろうかと一瞬考えた。しかしそれも快感とヒーローの人格にかき消され魂の隅へと消えてしまった。その名残が一筋の涙として残るだけだった。 「イクな龍! イッてくださいご主人様! ボクは、龍の、大切な、家族で、相棒なんですピョン!」 「ぼっ、僕も、そうだ。お父さんは、私のかけがえのない、家族で、ヒーロー!」 ふたつの精神が激しいセックスにより捏ねくり回され新たな人格を形成していく。そしてそれらの人格に不要となったものは快楽の産物として抽出されていく。 消費されたエネルギーが蒸気となり彼らの周りを漂う。ボルテージは最大を振り切れて跳ね上がり、二人は漸く真の絶頂の時を迎えようとしていた―― 「大好きピョン、龍!」 「お父さん、愛してるぞ!」 叫びとともに、濃厚で大量の精液が《妖精ヒーロー・ラビィ》の中に流し込まれた。そしてそれらはラビィの魔力に変換され、地球を守るための新たな力として還元される―― ◆ 「ご主人様、今ですピョン!」 「そこだ!」 ビースト帝国の幹部、火熊ダイゴウカが⦅天光剣・サファイアブレード》の錆と消える。今日も《ドラゴンヒーロー・スカイドラゴ》がとある街の平和を守った。 相棒の《妖精ヒーロー・ラビィ》の力がなければドラゴは力を十全に発揮できない。二人の力があってこその勝利だ。 一ヶ月前颯爽と現れたこのヒーロー達はビースト帝国を始め、数々の怪人達と戦い街の平和を守っている。しかし、その街以外では彼らの姿を見ることは稀である。彼らがこの街を気に入ってるのかはわからないが、どうやら彼らは常にこの街に住み着いてるようだ。 「助かりました! ありがとうございます! ドラゴさん、ラビィくん」 「いいんですピョン。ボク達は人々の笑顔が見たくてヒーローやってるんですからピョン!」 助けられた女性が二人に礼を言う。女性がふと二人を見て涙を流した。 「わ! どこか痛みますかピョン!?」 「何故泣いている。怪人はもう退けた」 「一ヶ月前、夫と息子が行方不明になったんです。その日、ビースト帝国襲撃のニュースをやってましたから、きっとその時に……」 「……済まなかった」 「怪人どもめ、絶対に許せないピョン!」 「あなた達が現れた時、思ったんです。あなた達はきっと夫と息子の生まれ変わりなんだって。変ですよね。そんなはずないのに……そんな気がするんです ありがとうございました。あなた達のことは、きっと忘れません」 女性は涙を拭って笑いながらそう言った。そしてそのままどこかへ去っていった。 その時、ドラゴとラビィの頬には、一筋の涙が流れていた。しかしヒーローには涙を見せる時間すらないと、二人は涙を拭う。もう涙は流れることはなかった。 「また襲われた時は、きっと助けに行く。それがヒーローの使命だ」 「はい!」 そしてドラゴとラビィの、ヒーローとして悪と戦い続ける日々が再び始まろうとしている。 しかしきっと二人のその絆は断ち切られることはないだろう。 二人は、家族であり、相棒であり、ヒーローなのだから。