悪魔の適性 第一話
Added 2020-12-05 21:52:10 +0000 UTC一話は無料公開となります 二話はスペシャルプラン加入で閲覧することができます 悪魔の適性 第一話 三十路をとうに超えたサラリーマンである幕田明正は、病で早世した年上の妻を持っていた一児の父だった。 学校から帰った息子の茂久を待たせまいと上司の目を後ろめたい気持ちで振りほどき定時で上がりそそくさと家へ帰る。そんな日々を送っていた。そんなある日のことだった。 彼の人生が唐突に終わりを迎えたのは。 「ただいまー。お?」 「おかえりパパ!」 明正が家のドアを開けると、茂久が何やらきらびやかな装飾が施されている辞書のような本を持って走ってきた。 「何だそれ、本か?」 「うん、 なんかカッコイイから借りてきたんだ! パパ、夜一緒に読んで!」 小学校に入って間もない息子だが、あいも変わらずその天真爛漫な笑顔はとても可愛らしかった。少なくとも父である明正にとっては。 「よーし、久しぶりに読んでやる」 「やったー!」 「その前にメシとフロだ。行くぞ茂久!」 「はーい!」 夕食と風呂を済ませ、明正は先に布団へ向かっていた。 「静恵。茂久は今日も何事もなかったぞ。ちゃんと見守っていてくれよ……」 妻の遺影に向かって日課の挨拶を済ませる明久。そんなことをしている間に、バタバタとけたたましい足音を立てて茂久がやってきた。 「おまたせパパ!」 「よし、じゃあ読むぞ」 明正はその本を開く。そこには何やら日本語どころか、英語ですらないどこの国の言葉かわからないような謎の文字列が書き記されている。 「なんだこりゃ……まるでこの世の字じゃないみてえな……んっ!?」 明正はさすがに奇妙に思った。しかし目を見開き2、3度瞬きをした後、明正はさらに驚くこととなる。その本に書いてあった字は、間違いなくこの国の言語であったからだ。 「おっかしいな……さっきは確かにヘンな文字で書かれてたはず……」 最初は自分の目を疑った。しかしその後いくら瞬きをしても目を擦っても、その字は自分たちがいつも見慣れている字そのものだった。 「どうしたの、パパ?」 「なんでもないよ。じゃあ、今読んでやるからな。 ……気のせいか。そうだよな」 明正はそう呟くと気を取り直して本を開いた。そして本を読み進める…… 「『この世界には、かつて悪魔と呼ばれる生き物が存在した。それは俗に魔物と呼ばれ、人間をいたずらに貶める存在であった。 しかし、時が経つにつれて人間は悪魔の存在を信じなくなる。悪魔の存在は人間によって科学や迷信のものと決めつけられてそれらの存在は否定されていった。これは人間の恐怖心という後ろ暗い感情に裏付けられたもので、普通であればそれは悪魔にとってはつけ込む要素となったはずだった。しかし、人間の過剰な魔への逃避は、いつしか悪魔信仰そのものの否定となり悪魔もその存在が希薄になりつつあった――』 ……って何だこりゃ、こんなもんが何で小学校の図書室に……?」 今この時点で彼が正気であったのならば、この本を怪訝に思い読むのを止めていただろう。実際、茂久は理解が追いつかずきょとんとした顔をしている。 しかし、明正はこの本の魔力、と呼ぶべきだろう何かに魅了されているようだった。不思議と読む気が失せずいつまでも読んでいたい気になる、いや…… この本を、読まなくてはならないとまで思っているのだ。 「……なんだ、この本……まあいいや、続き読むぞ」 「うん……」 「『悪魔はその事に対して最初は危機感を覚えたが、その人間達を利用することで同胞を増やす事を新たに考えついたのだ。 魔に対する関心が無いという事は、逆に言えば魔に対する耐性や対策が無くなるという事でもある。悪魔はそういった人間には認識されなくなるが、同時に魔を解する策すらもないために、ひとたび魔に付け込まれればどうすることもできないのである。 例えばこの書は、悪魔が制作した魔の書物である。この書を手に取り悪魔になることを望んだ者と契約し、個人の適性に応じた悪魔へと転生させる事が可能となる。ただしそれは、魔に関心のない者のみであり魔に精通している専門家であれば付け込む事は至難であろう。 あわよくば、この書が悪魔への転生を望み、その適性を持つ無力な人間の元へ渡る事を願う』……か」 (最近の本にしてはなかなかオカルティックな設定だな。じゃあ俺は悪魔になっちまうなんてことはないな……だって別に望んでないし) そうへらへらと笑い飛ばす明正だったが、あまりに荒唐無稽な内容に数ページ読んだだけでどっと疲れが出てきていた。あまりそういうファンタジーやSFだとかいう創作物に俺自身の興味が薄かったのもあるのかも、と明正は思った。 「パパ、この本よく分からないよ……」 「うーん、お前にはちょい難しかったかもな。明日図書室に返しに行くか?」 「うん……」 明正はそう言って次のページをめくった。明正にとっては無意識のことだったが、それは必然なものであった。 『仮契約者確認名簿 日本在住「幕田明正」 適性あり ランクF 日本在住「幕田茂久」 適性あり ランクA 一時的に以上の人間二人を悪魔へと転生させる』 明正が開いたそのページには、そう書いてあった。 「は?」 明正はわけがわからなくなった。 悪魔、転生、適性。 現実ではまずありえないような文面や内容。 それよりも、先程あの本に書かれていた内容らしき文章がその本にはあったのだが、そこに記された名前は他でもない自分自身、そして自分の息子のものだったからだ。 何故息子の学校の図書室にあったはずの本に自分達の名前が書いてあるのか。同姓同名にしては偶然にもほどがある。しかし明正は偶然だと思いたかった。そうでなければ、この本は本物の悪魔の書物で、その内容通り自分達は悪魔になってしまうということなのだから。 「まさか……本当に? いやありえねえ。この世に悪魔なんて……」 (そもそも俺は、悪魔になることなんて望んでない!) そう思いながらも昭正は、内心でもし本当に悪魔になってしまったら――という不安に駆られていた。 「と、とにかく、この本は明日学校に……」 慌てて本を閉じようとするが、しかしその動作は間に合わなかった。 その直前に、開かれた本からは紫色の鈍い光が――いや、それは光に見えても歴とした闇の波動だった。その闇が寝室を二人ごと埋め尽くす。それらはこの場に居た二人のみが認識しており、他の人間にはごく普通の家にしか映っていなかった。 「っ!?」 瞬く間に本が放った闇に包まれた明正は、その中でなすすべもなく自分の「転生」をただ受け入れることとなった。 着ていた服は闇にかき消され消滅し、明正は一糸纏わぬ姿を強制的に晒す。 「こっ、これは……まさか、そんな……!」 紫の空間の中で、明正は「適性」に応じた姿へと変貌を遂げようとしていた。 明正のゴツゴツとした指が縮み細く短くなっていく。いや、指だけではない。手も、足も、身体中の全てが今まで経てきた時を逆行するかの如く退化していく。 35、30、20――だらしなく弛んでいた体は、かつての若々しさを取り戻していく――いや、若すぎると云ったほうが良いのだろうか。明正の体はみるみる内に未発達な四肢に大きく膨らんだ腹という、幼児同然の肉体になっていた。 「嫌だ! やめてくれ! お、俺の体が!」 発した声も既に子供のそれとなっており、かつてこの男が一児の父親だったとは思えないほどに変わり果ててしまっている。しかし、この変化はただ肉体が幼くなるだけでは終わらない。 「いいっ!?」 無意識に、明正は素っ頓狂な叫びをあげる。全身に電気のようなものが走った感覚がしたからだ。そして、その感覚は爪先から頭へとゆるやかに浮上していった。それと同時に、明正の皮膚の色は血のような真紅へと染まり上がっていく。原色のペンキを塗るように、明正の肌は人ならざるものへと更新されていった。 「……な、なんだ、これ……いや、まだだ、な、なんかくる! 俺の体に、何かが生える!」 明正は無意識にそう叫んでいた。明正の肉体から感じられる鼓動は、彼の背中、頭、そして臀部に集中していた。 ――いやだ。このままじゃ、生えてしまう、やめてしまう、人間じゃなくなってしまう。お願いだ。神が存在するならば今これから起きるであろう事を止めてくれ。 明正はそう願った。しかしその願いは眩い闇の中に掻き消えるのみ。彼の願いは何処にも届きはしない。 「うおおおおおおおおおぉ!」 甲高い雄叫びと共に、人ならざる部位が明正の肉体に生成される。鋭利に尖った日本のツノ、背中にたなびく一対の翼、臀部から蛇のようにうねり伸びている尻尾。それらが一瞬で明正のものとなった。彼はそんなもの欲しくはなかったのだが。 「やめてくれ! やめてくれ! ……あぁ」 肉体が悪魔に近づいてもなお叫び続ける明正の口から白い塊がポロポロと落ちていく。それは人だった頃の歯だった。しかし落胆する必要はない。彼の口にはすぐに悪魔の牙が生え変わるのだから。 仕上げと言わんばかりにグルリと瞳が一回転する。瞳が正面へ戻る頃には明正の瞳は金色に光る悪魔のものへと変化していた。 「うわああああっ、あっ、うぐっ!」 同じ頃、茂久も明正と同じように肉体の変化が始まっていた。 年相応に幼かった茂久の肉体が盛り上がる。瞬きする毎にボコリ、ボコリと不気味な音をたてながら茂久は急成長を遂げていく。 痩せ細った二の腕、薄い胸筋、少し膨らんだ肌。それら茂久が持っていたものを、まるで必要ないかのように筋の肉が塗りつぶしてしまう。 「や、やだっ、何これ、たすけン゛お゛お゛オ゛お゛オオオオ゛ォ゛ッ!」 肉体が発達していく度に茂久の背丈は段々大きさを増していく。バルクアップした身体が胸筋よりさらに上の部位を侵す頃には、かわいらしかった茂久の声は低くなってしまい、その声帯で無理矢理発した嗚咽は地響きのように野太かった。 身長180cm以上、なおかつ筋骨隆々の肉体を手に入れた元小学生の顔面は、まだ子供のままである。しかしそれも、よりAランクの悪魔らしくなるよう改変が始まる。 柔らかい黒髪は刺刺しい真紅の短髪に変化し、それと同じ質感の髭が口周りに雑草の如く生い茂る。顔もその立派な肉体に合うように厳つく成熟していった。 「ああっ、お、オオッ!」 しばらくして、雄叫びと共に茂久の背中に生えてきたのは巨大は悪魔の翼だった。まるで生まれてきたのを喜んでいるかのように大きくはためいている。 「ガッ、グアッ、ガアアッ!」 間髪入れず、叫びに合わせて巨大な蛇の尾が、真紅の二本角が、悪魔の牙が茂久の肉体を彩っていく。彼を立派な悪魔の男へと変身させるために。 「ハアッ……グ、グウッ……」 いつしか肌の色も紫色に変化し、元はただの小学生の少年だったとは思えないほどに、彼は変貌を遂げていた。 そして最後に――まだ精通すら迎えていなかった未発達な陰部が、大きく立派に成長しはじめていく。 びきびきと血管を浮き立たせながら、彼の陰茎は膨らんでいく。被さった表皮は陰茎の成長中にめくれ上がり中からドス黒く変色した亀頭が湯気をたてながら露わになった。 陰茎の成長に合わせて睾丸も中身を注入しているかのように膨らんでいく。袋にゴロゴロとした二つの玉が目視できるようになる頃には、立派な悪魔の陰茎に似合う豊かな陰嚢がぶらりと垂れ下がっていた。 「グ……アァッ!!」 最後に瞳が真っ赤に染まると茂久は『Aランク』の称号に相応しき剛毅な悪魔となっていた。 闇が収束する頃には、親子の寝室には二人の悪魔が立っていた。 『Fランク』の小悪魔・明正と、『Aランク』の魔人・茂久。 彼らは巨大な陰茎をびきびきと反り立たせながら、ただ呆然とその場にへたり込むしかなかった。 ――そして、彼らが悪魔と化してから一日が過ぎた。 どうすることもできなかった明正は行くはずだった仕事を無断で欠勤せざるを得なかった。当然このような姿になってしまった茂久も学校へは行っていない。 「どうしてこんなことに……夢なら醒めてくれ……」 「大丈夫? パパ……」 明正は布団に蹲ってそう呟き続けていた。しかしその甲高く変化した声が自分の耳から聞こえる度にこれは夢ではないことを突きつけてくる。自分の事を心配しているはずの愛すべき息子の声も、壮年のような声質に変化しているためかいやにアンバランスで、逆にこの非現実のような現実を直視させる原因となってしまっていた。 「それにしてもこれ、大きいね。それに、くすぐったい……」 蹲る明正をよそに、茂久は興味津々な様子で股間の肉棒に手を伸ばそうとする。 「だからやめろ! それだけはダメだっ!」 しかしその手は明正の小さな手によって払い除けられる。茂久が陰茎に手を伸ばし、明正がそれを静止する。二人はそんな事を一晩中繰り返していた。 なぜそんな事をしているのだろうか? (クソ、ふざけやがって……何時間経っても治まらねえじゃねえか……!) ――何故なら二人の陰茎は勃起しているからだ。怒張し限界まで膨れ上がったそれは、周りにびきびきとグロテスクなほど血管が張り巡らされている。少し刺激を与えるだけで射精してしまいそうなほどに、その陰茎は秘めたる肉欲を溜め込みながら肥大化していた。 まさにニトログリセリンに例えられるレベルの危険な爆弾を、二人の悪魔は股間に抱えていた。明正に至っては、縮んだ肉体に対して陰茎はそのままのため自分の体の二倍以上の大きさになってしまっている。故に、肉体及び精神へのへの負担は茂久以上であった。 ここまで長時間の勃起が続いている理由は当然あった。悪魔の契約による副作用である。 「なんだこれぇ……ちんちんが……」 「ぐっ……んふぅ、チ、チンポがずっと勃起して治まらねえ……今にも出しちまいそうだっ……!」 彼らが悪魔の体に変貌してから約30分の時が経った頃、唐突に二人の陰茎は勃起をはじめた。しかも通常の何倍以上の大きさに膨れ上がり、その瞬間から全身を止めどない射精欲が支配しはじめる。 ご無沙汰だった明正は当然その肉欲には抗えるわけもなく、すぐに射精を行おうと下腹部の力を緩めはじめた。しかし―― 「や……やべっ……イ、イッちま―― ――っ!?」 そんな時、彼の眼前にまたしてもあの本が現れた。彼にその事実を見せつけるかのように魔の本はそのページを開く。 そこには、このようなことが記されていた。 『仮契約者 幕田明正・幕田茂久。 契約の儀式を開始する。この悪魔の肉体を完全に定着させたければ二つの契約を行え。 一、射精による肉体の破棄。 一、射精による魂の破棄。 仮転生された悪魔の肉体は人間の肉体情報と魂が残存しているため、仮転生から60万8400秒後には肉体が人間のものへと戻ってしまい契約は自動的に解除されてしまう。 しかしそれは陰嚢に無数にある人間の精液に封印されており、それと共にそれらを排出することでそれを防ぎ完全定着及び完全なる契約が可能となる。 ただし一度の射精だけでは契約の解除は防げても魂は人間のものを保ったまま完全なる悪魔になることはできず契約は完了しない。肉体を破棄する契約を行った後に再度射精する必要がある。 二度目の射精で、悪魔の器である人間の魂は排出され、記憶・意志・精神などと云った要素が全て悪魔のものへと置き換わるであろう。 逆に、契約を破棄したければ60万8400秒の間射精をしてはならない。悪魔の姿に不満を持ち人間の姿を取り戻したいならば、その間耐え続けることだ』 「これって……射精したら元に戻れなくなるってことか? しかも、またしたら魂も……? じゃあずっと射精できないじゃねえか!」 それから数時間、二人は射精は愚か眠ることすら拒否し、ずっと快感に耐え続けていたのだ。 「くそ……でもそろそろ寝ねぇと……でも夢精しちまったら終わりだ。ダメだ、堪えるんだ……」 しかし、睡魔は刻一刻と明正の肉体を支配していく。明正の隣では茂久が巨体を臆面もなく大の字にして大鼾をかいて眠っている。 (それに、もし茂久が何かあった時にこの体じゃ守れねえ……) そんな事を考えていた時、明正は自分の股座に違和感を覚えた。自分の陰茎に、何か温かい感触がしたからだ。自分のそそり立つ陰茎に、何かが掴まれて―― 「っ!?」 明正は驚愕した。自分の陰茎に茂久の大きな掌がすっぽりと覆われていたからだ。寝ぼけているのかわからないが、とにかく茂久は自分の一番大事な場所を刺激しようとしている! 「お、おい茂久! ソコはダメだ! ダメッ……」 しかし、その静止を遮るように茂久の手は上下をはじめる。勃起する父親の"息子"を慰めるかのように。 「おほっ! ひいいいいいィ!?」 明正が快感で喘いでいる最中、茂久は夢を見ていた。ごく普通の、幸せな一家族の、ささやかな夢を。 『腰を痛めちまってな。茂久、摩ってくれるか?』 大好きな父の腰を労るべく、茂久は優しく背中を摩る。掌をゆっくり上下に動かして。 「やめろ!! や、やだ! 出る! 出るっ!!」 快感のボルテージは限界に突入し、明正の陰茎は射精の準備を開始する。しかしそれをしてしまえば、明正は二度と人間へは戻れなくなる。それだけは、それだけは――そう必死に抗うが、愛する息子への無自覚な手淫の前にはそんな抵抗も塵芥同然だった。 「パパ……どう、気持ちいい……?」 そう呟く茂久は、自分の父親が人間をやめる瀬戸際にいるとは、そして自分がその原因を作っているとは微塵も思ってはいなかった。 そして…… 「やめ、あああああああああああぁ!」 悲痛な叫びとともに、明正の陰茎から夥しい量の白濁液が飛び出した。小さな体を震わせて射精の快楽を享受する。寝室の家具にべっとりと付着する精液は、彼の30年間の人生を内包しているだけあってか、真っ白でなおかつ濃厚であった。 (あぁ! 嫌だ、ダメだ、出て行かないで、俺の人間の体、やべぇ、すげぇ気持ちいい) そんな明正の必死の懇願も、脳を覆い尽くす快楽に溶かされ考えられなくなった。惚けた顔で自分の遺伝子に別れを告げるその姿は実に哀れであった。 「あぁ……俺はもう、元の姿には……」 精液溜まりの上に座りながら、唖然と虚空を見つめる明正。横には呑気に眠っている息子の姿。彼はまだ精を出してはいなかったが、その陰茎は小刻みに震え、今にも大量の種汁を吐き出そうとしているようだった。 そんな息子の姿を見ていた明正は、彼に対してどこか腹立たしさを感じていた。守るべきはずの息子に人間をやめさせられた。そんなやるせなさが仄暗い感情となって明正の魂を支配する。 (なんで俺だけ……いや、ダメだ! 茂久まで俺と同じ目になんて……) しかし、人間として、そして父親としての呵責もまだ明正の中には残っていた。しかも息子はその時眠っていた。無意識でやっただけだ。自分が耐えられなかったのが悪いんだ。茂久は悪くない。頭の中で明正はそう何度も何度も反芻した。だが…… 「今、楽にしてやるからな」 明正の小さな手は、茂久の大きな陰茎を掴んでいる。『こんなにチンポをビンビンにおっ勃ててさぞ苦しいだろう』『早く出して楽になりたいだろう』。そんな邪悪な囁きが、無意識に明正の口から漏れる。 静かに息子の陰茎を扱いている明正の顔は、まさに悪魔の形相と形容するに相応しいものだった。しかしそのことに彼は一切気付いてはいなかった。 「あっ!」 茂久の低い喘ぎ声が室内に響き渡ると、明正に負けず劣らず大量の白濁液が撒き散らされ、寝室を汚した。明正は、快楽に歪む息子の顔を見ながら、顔に付着した息子の精液をその長い舌で舐め取っていた。 (俺は、なんてことを……) 第二話に続く