ヴ…ヴ…ヴ……
「んっ……くぅ」
人間の女が一人暮らしをしている、とある1K(ワンケー)の一室。
そこではくぐもった機械音と、ここで暮らしている一人の女の耐えるような声が部屋中に響いていた。
「んっ……くぅん……❤」
女の口から溢れる快楽を耐え忍ぶ声。
異性が聞けば、間違いなく劣情を催す淫らな声。
それほど『福田 樹乃』の出す、淫靡な声はいやらしかった。
「ハァ~ハァ~ハァァ~❤ 乳首……乳首もぉ❤」
自分のベッドの上で、全裸姿で寝転がっている樹乃。
両脚を広げて、両手で大きく膨張している自分の乳首を捏ねくり回す。
乳首の形が変形するほど強く、強く摘まんで……。
「ンッ! ハァァ~❤ そっそろそろ『ジョニー君』を……」
樹乃は膣の中を二本の指で弄り、その中に入れていた異物を外に取り出す。
グチュゥゥ~❤
——というぬめり気のある愛液と一緒に、膣内から指で外に掻き出されたピンク色のローター。
それは外に出されてもなお、ヴヴヴ…ヴヴヴと激しく振動を繰り返していたが——
カチッ!
樹乃がリモコンのボタンを押しただけで、激しく振動していたローターは一瞬で動きを止めた。
「え~と、確かジョニー君はベッドの下に……」
ガサゴソと仕舞っていたカゴをベッドの下からひっぱり出す樹乃。
ひっぱり出したカゴの中は、大人の玩具がギッシリと収納されている。
これらは、全て樹乃の『愛用品』。
どれもこれも汚れ一つなく、また、埃すらついていない。
新品という訳でもなく、もちろん一度は使用している玩具。
それほど、樹乃は大事に大事に使っている玩具なのだ。
——全部が全部、自分の身体を気持ち良くしてくれる、樹乃にとっての役立つ物だから。
「どこに仕舞ったかなぁ~ ん~? あっ! あったあったっ!」
樹乃がカゴの中から取り出したのは、男性器を真似て作られた張型(ディルド)。
標準的な大きさで、 ‟一見” いたって普通な大人の玩具。
だが、ひと目見ただけではすぐに分からない、一ヶ所だけ普通とは異なる部分がその玩具にはあった。
——では、その異なる部分が何なのかというと、張型のカリの部分に小さな頭が埋め込まれているのだ。
‟小さな人形みたいな、本物の人間の頭が……”
これは、樹乃が持っている玩具の中でこれだけが特別であり、また、 ‟生きた人間を材料にした玩具” である。
「さぁ、ジョニー君。 迎える準備が出来たよ? いつもみたいに、私の中に入れてあげる❤」
そんな玩具に向かって、まるで恋人に話すように喋りかける樹乃。
頬を赤く染めてニッコリと微笑みながら。
樹乃は、この玩具が特に気に入っていた。
毎回最後には、必ずこの玩具を使って事を終えるほど。
別に、張型に埋め込まれている男が好きだとかそういうのではない。
この男が人間だった頃にも、出会った事や話したこともない知らない他人。
ただ膣内に挿入したら、一番感じる箇所に男の頭がピンポイントに当たるから気に入っているだけ。
当たるだけではなく、さらに自動で擦るように頭が動いてくれるから尚更……。
《男は、膣内で苦しみ藻掻いて暴れているだけなのだが……》
もちろん樹乃は、自分の膣内で男が苦しみ藻掻いている事は知らないし、気付く事もない。
もし万が一、自分のいやらしい行為で苦しんでいると知ったとしても、樹乃は構わず使うであろう。
——それほど、男の頭が擦れる感触にハマってしまっている。
「——ッ! あぁ~ん❤」
もう我慢が出来ないと、さっそく濡れきった膣内へ男が埋め込まれた張型を挿入する樹乃。
ズプ…ズプ…ズプッ❤ と、いやらしい音を立てて自分の中へと迎え入れる。
女陰の周りにある、ビラビラとした樹乃のヒダは、待ってましたと言わんばかりに、張型の竿部分にベチャッっと絡みつく。
陰核である豆のような小さなクリトリスは、真っ赤になって膨張し、破裂でもしてしまいそうだ。
樹乃の身体はもう、絶頂を迎えるための準備完了の状態……なのだが——
「んっ? あっあれ? いつもみたいに動いてくれない……。 なっ何で!? うっ動いて! 動いてよぉ! このままじゃ思いっきりイケないよぉ」
本来あるはずの刺激。
膣内に挿入したらすぐに感じる、あの頭を膣壁に擦り付ける気持ちの良い甘美な刺激。
その刺激がなくて、樹乃は不満の声を上げる。
「ねぇ? お願いっ! 動いて…… 動いてよぉ! このままじゃ、中途半端にイッちゃうよぉ」
あえて男の頭を膣壁に擦るようにして、片手で抽挿(ちゅうそう)を繰り返す。
ジュポッ❤ ジュポッ❤ と、激しく何度も抽挿をしているため、樹乃のいやらしい穴からは愛液がビュッ! ビュッ! と、飛び散る。
それでも、まったく動く気配がない男の頭。
わざと膣に力をこめて締め付けても、全然動かない。
こんな事が今まで無かったため、流石にオカシイと感じた樹乃は、挿入している張型を一旦外へ取り出す事にした。
糸を引き、自分の陰部から取り出した玩具を目の前に、
「ああ、そんな……もう ”壊れ” ちゃったの? まだ買ってひと月ぐらいしか使ってないのにぃ」
持ち上げて見る男の顔は、舌をだらんと垂れ出し、目は白目を向いている。
それを見て樹乃は、壊れてしまったと思って残念そうに呟いた。
だが、壊れたと言っても男が死んだ訳ではない。 まだ生きてはいる。
その証拠に、男は微かに呻き声を出している。
樹乃には一切聞こえていないみたいだが……。
実は、これはエロステではよくある事。
小人にされた者は、日々女に物のように使われ、精神をすり減らしながら生きている。
『尊厳』・『意地』・『誇り』 人間として当たり前に持っていたものが、女の性欲のためだけにズタズタに傷つけられ、最後には粉々にされてしまう。
「Aha… a… a… a……」
そして樹乃が愛用していた、ジョニー君と呼ばれている男もそう。
既に、樹乃に散々と使われていたがために、人間としての心は粉砕されてしまっていた……。
たったひと月ほど使われただけで……。
しかし、それは仕方がないのかもしれない。
樹乃にジョニー君と呼ばれている男は、それほど酷な生き方をしてきたのだ。
女の性欲の発散に、張型と一体化させられた男を膣内に閉じ込め、毎回のように何度も自分を使ってオナニーをされる。
『気持ち良い❤ 最高❤』という声を、膣の中で聞かせられながら、女のなすがままに膣壁で擦り付けられて、イクまでずっとだ……。
それが、どれほど惨めで心にダメージを負うか……。
やっと女が絶頂を迎えてこの行為が終われば、次に待っているのは酷く退屈な時間。
張型となった男を、女はカゴの中に入れて、ベッドの下へと仕舞うのだ。
カゴの中は、また別の大人の玩具が男と同じように仕舞われており、どれもこれも、男とは違う ‟本物の玩具” 。
全部が全部、この女の身体に使われるためだけに存在している物。
——そんな物と一緒のカゴの中に、男も物として仕舞われる。
そして、カゴの中にある色々なアダルトグッズを見て、自分がどういう存在にされたのか嫌でも分からされてしまうのだ。
‟自分自身がもうこれらと同じ、女の身体を慰めるために使う、アダルトグッズなのだと”
そうして女が過ごす生活音を、ベッドの下で聞きながら保管され続ける。
テレビの音や食事をする音、女がシャワーを浴びる音や寝息の音等々……。
そんな普通の人間が過ごす生活音を、ベッドの下の暗がりの中で聞きながら、一日が終わるのだ。
時間が経ち、朝になって太陽が昇ったとしても、男はベッドの下に仕舞われたまま。
いくらそこから出たいと思おうが、一歩も動く事は叶わない。
そんな場所から出れるとすれば、女が性欲を発散する時だけ。
オナニーにディルドと化した男を使う時だけ、ベッドの下からやっと取り出される。
——そんな毎日を過ごす内に、男は考える事をやめてしまう。
思考その物を停止しなければ、いつまでも辛いままだ……。
なら、何も考えない方が楽だと気づいて……。
そうして男は何も考えず、 いつしか ‟感情” までをも無くしてしまい、廃人となってしまった。
これでやっと痛みも苦しみも……何も感じる事がない、ただただオナニーに使われるだけの、本当の意味での大人の玩具になった。
——男はこれで、無機質な玩具として完成したはずなのに……
「むぅ~! もうこれいらないっ! はぁ~ ‟明日、新しい玩具を買いにいかないと”」
そう言って、樹乃は張型となった男をベッド脇に置いてある箱の中に投げ捨てた。
完全な張型の一部となれた男を、いらないと言って……。
樹乃が捨てた鼻をかんだティッシュや、お菓子の紙袋などが沢山詰まったゴミ箱の中に。
そしてすぐにオナニーの続きを始める樹乃。
あれほど気に入っていた男の玩具の事を、もう忘れたかのように快楽に没頭する。
実際に福田樹乃は、捨てた男の玩具なんてどうでもいいのだろう。
‟壊れた物” は、置いてても邪魔になるゴミなのだから。
——ああ、この男の末路を思うと、酷く哀れだ。
何故なら明日の朝、この女に様々な家庭内のゴミと一緒くたにされて、ゴミ収集車に運ばれて焼却される運命が待っているのだ。
誰からも惜しむ事すらされなく、樹乃が使った使用済みの性具としてひっそりとこの世から消える運命が。
~これは宿命。 性具に埋め込まれた人間が絶対に辿る道~
人間に買われた時、この宿命からは逃れる事はできない。