「うぅ……ぅぅ……」
女子達の安らいだ呼吸音に包まれた室内の中。
『藤田 速人』は一人、物みたく地面の上に転がされたまま泣いていた。
しくしく……静かに涙を流して。
それは女子達によって、あまりにも人権が無い無慈悲すぎる扱いをされたからである。
どれだけ痛みや苦しみで悲鳴を上げようとも、おかまいなしに自分を散々と性具として使われたからだ。
しかも当人であるクラスメイトの女子は、今はベッドの上で寝息をたてている。
それはもうぐっすりイビキをかいたりと、すやすや……。
――ああ、本当に道具のようだ。
人間同士の接し方をまったくされていない。
そう思い――また耳に聞こえてくる女子の寝息で、それを酷く痛感して涙する。
ディルドの先端に今尚入れられた状態のまま、室内の床の上に放置されたままの状態で。
ペラ……ペラ……
そんな寝息の他にも室内には、時折紙をめくる心地の良い音が鳴っていた。
これは下着だけを身に着けた『白鳥 詩織』が、丸い机の傍に置いてある椅子に座って本のページをめくっている音。
誰よりも先早くに目覚めた詩織が、小説を読みふけっている音である。
「ふふっ♪」
小説の内容が面白かったのか、詩織は微かな笑いを零す。
その足下では、性具に使用していた速人以外の男達が、一生懸命に彼女の素足を舐めていた。
足指の隙間にも舌を這わして……。
詩織のそれは大層ゆとりのある優美な姿。
慣れ親しんだ家にいるみたく落ち着き払った。
同じ人であった男に、足の汚れを舐め取らせているというのに。
「うぅ~ん……」
かような “女だけ” が寛ぐ室内の中、突然とベッドで眠っていた『浅見 桜』の高い呻き声が響き渡った。
むくりとベッドから起き上がり、座った姿勢での大あくび。
背筋をピンッと伸ばし、パキポキと骨を鳴らしての。
とろんとした眠気まなこで大口を開けて、それはもう品性のかけらもない下品な姿だ。
そんな彼女に向けて、詩織は笑みを浮かべながら話しかける。
「浅見さん、おはようございます」
「んぅ……はよ~……。 ねえ、しおりん……今何時?」
「えっと、まだ朝の六時過ぎですね」
「朝の六時って……しおりんはいつから起きてたん?」
「私は五時前に起きてしまいまして、それから眠れそうにないので本を読んでいました」
「うげ……めっちゃ早くに起きてんじゃん。 ふぁ~あ」
再度あくびをしながら隣に視線を向けると、『並木 りん』がすやすや気持ち良さそうに素っ裸で眠っていた。
そして気付く。 自分も彼女と同じく裸のままで眠っていた事に。
「あたし、裸じゃん……」
「ふふ、浅見さんと並木さんは疲れたようにベッドでそのまま眠ってしまいましたからね」
「え、まじか……」
桜には記憶がなかった。 自分がいつ眠ってしまったのかを。
でも多分、生きた男の玩具を使って何度も達している内に、眠ってしまったのだろうと思った。
脳を焦がす強い快感。
それだけは最後に感じていたのだけは覚えていたから。
「まあいいや。 ――んっしょっ」
まるでどうでもいいやと、そんな風に考えていたのをやめた桜は、おもむろにベッドから降りて立ち上がる。
速人から見るとその姿は、街中に並ぶどの建物よりも大きな巨体が動いているように見えていた。
しかも加えて、かような巨体がこちらに向けて歩いてくる。
巨大な足を踏み下ろし、とてつもなく大きな地響きを上げて。
「ひ、ひぃッ!」
恐怖でしかない。
いくら良く知っている女子であろうとも、今の速人の小さな体からしたら。
今の女子達との関係は、自分を物として簡単に扱われてしまうほどの、覆す事のない力関係が出来てしまっているのだから。
「ああ、あったあった♪」
すぐ間近に振り落ちる両足。
それは、速人を右足と左足に挟んだ状態で立ち止まった。
「うあ……うわあぁぁ……」
ディルドに入れられた状態の速人を跨ぎ立つ桜。
だからこそ彼の目には、彼女のあられもない秘所が飛び込んでいる。
下腹部に生えている陰毛や、縦筋を作り閉じられた陰部。
そして女性だからこそ発達し、大量の脂肪で引き締められた尻肉が。
速人からは桜の顔は確認できない。 彼女の真下にいるために。
良くて下乳が見えるぐらいだ。
ほんとそれだけ……。
「嘘だろ! さ、さくらぁぁ」
そんな桜の臀部が、いきなり速人に向かって落ちてくる。
大気を切り裂き、物凄いスピードで。
だが、あわや彼女の大きなお尻で潰されると思った時、どういう訳か空中でピタリと静止したのであった。
「ひぃぃッ!」
これはただ、速人の近くに脱ぎ散らかした自分の下着を拾おうとしての行為である。
性具と化した男を使うため、横着して床に放っていたままであった。
現に、彼女はしゃがんでブラジャーやパンツを拾っている。
速人が走って息を切らせるぐらいの距離にある下着を、簡単に手だけを伸ばして。
そのような体勢であるため、少し広がった尻肉からの桜の肛門の穴が、速人の目には鮮明に見えてしまっていたのであった。
彼女の肛門のシワ……ひとつひとつまで。
「うぶぁッ!」
――生々しく薫る女子の肛門の臭い。
かような臭気を、直接的に嗅ぐわう位置に彼はいるために、嫌でも嗅がされている。
「あれ? そういえば明日香達がいないけど、どこにいったん?」
今さらながら、『柏木 明日香』『天上院 茉由』『華冬 ニナ』の三人の友達が部屋にいない事に桜は気付いた。
夜中まで一緒に、小さい男を使って愉しんでいたのにと。
「ああ、茉由さん達は使い終わった後、眠るスペースが足りないので別室に行きましたよ」
「げげ、あたしがベッドを占領して爆睡していたせいだ。 めっちゃ悪い事してしまったなぁ……」
桜は三人がこの部屋にいない理由が分かり、後ろ暗い気持ちでブラジャーを着用していく。
しゃがんだ姿勢のまま、器用に胸の脂肪をカップの中に寄せ集めて。
「特に気にしなくてもいいですよ。 眠るスペースが足りないのは分かっていましたので、予め二部屋予約をしていましたので」
「そ、そう? だったらいいんだけど」
そう言ってグイッと胸の脂肪ごとブラジャーを持ち上げ、完全に着用した桜。
彼女は真下に速人がいる事に気付いていない様子である。
まさか自分の肛門の穴を、昔から付き合いのある速人の前に曝け出しているなんて思いもしていない……。
そう、桜は未だ、速人がディルドの先端の中に入っている事を忘れてしまっているのだ。
実際、彼女は自分のお尻の下にディルドが置いてある事には気付いてはいた。
だが、ただ玩具が床に転がっているのだと――そんな風にしか認識していなかったのである。
これは、夜に皆で使った玩具。
散々と使い、性具として脳に定着してしまった気持ちの良い玩具。
なので彼女の目には、今や陰部に使う性具としてしか見えやしなかったので。
まあ、それほど使い慣れてしまったのだ。
速人がディルドの先端に埋め込まれているのを、一目みてまったく違和感を覚えなくなるほど。
始めは速人に対して、本当にディルドとして使ってもいいのかと、確かに罪悪感を感じていたはずなのに……。
だけど桜はこの後、自分が使っていた性具が速人である事を改めて認識したのである。
立ち上がってパンツを穿く際、誤ってディルドを踏んでしまったせいで。
「――ちょっ! うわあぁぁぁぁッッ!」
パンツを穿くために持ち上げられた片足が、速人を目掛けて降ってきた。
自分を踏み潰さんとする勢いで。
だというのに身体の自由が効かないため動けない――ゆえに逃れようもない。
速人はただ絶叫を上げて踏まれるのを待つのみ。
「さくらぁぁぁッ! 下に……下におれが――」
彼女の名前を叫び、速人は必死に自分が真下にいる事を訴える。
だけどまったく叫び声に気付く様子もない桜は、無常にも恐怖で悲鳴を上げる彼の上に片足を踏み落としたのだった。
「ぐぶッッ‼」
桜の体重を乗せた片足によって、みるみる形を変形せしめていくディルド。
「がッ……ぁぁ」
シリコン製であるその玩具は、ぶにゅぅぅッ! と速人ごと、その先端部分をペチャンコに圧し潰さんとする。
加減のない彼女の体重を乗せた力で。
だからだろう、ディルドの先端部分に入れられた速人の身体部分は、踏まれた事によって内部で圧せられる。
暴力じみた物凄い体重で、速人の骨をバキバキに砕き潰して……。
「ぁ……が……ぁ……ぁぁ………」
声にならない悲痛な声。 彼の意識はチカチカと明滅する。
強烈な痛みで意識を失い、そしてまた痛みによって意識を覚醒させられるその連続。
速人が受けているこの苦痛は、本来、犯罪を犯して小さくされた男が淑女のお遊びによって与えられる拷問である。
踏まれただけでは死ねない彼らからすれば、どんな屈強な男であっても泣いて許しを乞うてしまうほどの激痛だ。
それをまさに、桜本人も知らずに速人に対して行っていた。
彼が経験した事のない痛みを。
身体の骨を砕くという惨たらしい痛みを。
「――うぇっ⁉」
だけど、その拷問は数秒で終わりを見せる。
速人にしたら長時間激痛を与えられていたのだと錯覚しているが、でも僅か五秒にも満たない時間であった。
桜はディルドを踏んだ事により足裏に違和感を覚え、慌てて足を退かしたゆえ。
そしてここで、桜は始めて “本当の意味” で足下にあったディルドに意識を向けたのだった。
また、先端部分に速人が入っている事を瞬時に思い出すのである。
ディルドに意識を向け、自分が踏みつぶした無残な姿となった速人を見たおかげで。
「やばっ! 明日香の玩具踏んじゃった……。 ――ってか、げっ! 速人まだそん中にいたん⁉」
「が……ぁ……ぅぅ」
慌ててディルドを広い上げる桜。 速人は口や鼻から血を流して苦しそうに呻いている。
「よ、良かった……息してる。 まじごめん、速人。 だ、大丈夫?」
生きていた事にほっと胸を撫で下ろす桜。
いくら彼を性具として扱っていたとしても、自分の足で踏み殺してしまったら申し訳ないと思って。
なによりも速人は自分にとって、昔から付き合いのある男子でもあるため。
「浅見さん平気ですよ、ちょっとぐらい踏んだとしても今の藤田君の体はすぐ元通りになりますので。 それに私達がえっちに使っていた時もそうだったじゃないですか。 挿入などをした時にも首の骨が折れていたのに元に戻っていたでしょう?」
「ま、まあそうなんだけどさ……。 でもこんな痛そうにしてるし流石に可哀想じゃん」
「今更何を言っているんですか。 浅見さんもそのディルドであんなに激しく腰を振っていたのに」
「うぐっ……あれは……その場のノリに酔ってたってのもあるし、それに自分でも止めらんなくなって……」
言葉の通り、桜は先端部分に入れられた速人ごと女性器に挿入し、腰を振っていた。
遠慮なしに前後左右にお尻をいやらしく動かしたり、激しく上下にピストン運動を繰り返して。
でもそれは、あまりに気持ち良くてだ。
先端に飛び出た速人の頭である突起が、自分の中の気持ちの良い場所を刺激してくれたから。
なので快楽に負け、遠慮なしに使ったのだった。
イケるのなら、いくら良く知る速人であっても……どうでも良くなってしまって。
「とりあえず、このままにしているのはあれだし、出してあげるか」
桜はディルドの先端に入ってある速人の頭を指先で摘み、グイっと引き抜こうとする。
「――いぎ”ぃぃッッ!」
速人からすれば溜まったもんじゃない。
あまりの痛みで悲鳴を上げる。
「あれ? 抜けない。 ――か……たッ!」
そんな痛みを与えている事はつゆ知らず、なおも引っ張る桜。
親指と人差し指で頭を決して離さぬ力で挟み、首から先を引き千切らんとする程の力で。
かような力を無慈悲に加え続け、そして――
「あっ! やっと抜けた」
スポンと、まさしくそんな気が抜けた音と共に、速人はディルドの中から解放されたのだった。
前日の夜ニ十ニ時辺りから、実に八時間ぶりに。