■はじめに
インターネットをぶらついているとなんだかネタバレを踏みそうな気がしたので先手を打って観てしまうことにした。
というわけで観てきたので、ライフログとしてメモを記す。
尚、あくまで個人的メモであり、読者の都合やネタバレ等に関しては一切考慮されていないのでご留意願いたし。
■自己紹介
たぶんガンダムというやつはそれなりにハイコンテクストな文化なので、読者の便宜を鑑み、事前に著者とガンダムの関係性を開示しておきたい。
当方、アニメとは距離のある健全な人生を送ってきたので、私にとってガンダムとは長らくSDガンダムであった。
つまり、ガンプラでありガシャポンでありバンプレスト周辺のゲームでありカードダスである。コロコロやボンボンあたりで何らかのコミカライズも読んでたかもしれないがあんまり記憶には残っていない。好きなMSはマスクコマンダー。ブラックドラゴンも好きだったけどこれMSと言っていいのか?
ガンダムの本編(?)とでも言うべきアニメや映画には基本的に触れてこなかったが、インターネット経由で空気感だけはなんとなく吸っている。アニメで履修したのはポケ戦、ハサウェイ、水星。そんな感じ。「これまで遠巻きに眺めていたけど最近になって手を出すことにした典型的ニワカ」感が見て取れるラインナップだろう。
一方でガイナックスだのカラーだのの世界とはガンダム以上に無縁。エヴァは未視聴、フリクリは僅かに触ったことがある程度で「なんか洒落臭い」くらいの印象。ベスパ女よりは太眉の方が好み。そんな感じ。
■総評
80/100
構成に関する「仕掛け」も含めて、楽しかった。ネタバレを目にする前に視聴して良かったと思う次第である。
一方で、この「仕掛け」の都合か、後半部分の完成度が不足しているように感じた。
視聴者を物語に惹きつけるエネルギーも前半部分に集中しており、当方の観測範囲でも赤いの(令和)より赤いの(昭和)を語る声のほうがはるかに大きかった。昭和の遺産を推進剤に使うのならいいが、昭和の遺産に頼り切りになるようでは好ましくない。2話以降は令和の面子にも頑張ってほしいところ。
■構成
恐らく多くの所見視聴者と同様、本編の前に長い前日譚が入る構成はびっくりだ。見た瞬間は面食らったが、その次に「そう来たか」という感慨が訪れた。
なるほど、確かにこの構成には「本作、流石にちょっとガイナックス過ぎんか?」という既存ファンの懸念を一瞬にして払拭する効果がある。このビギニングを流すことで、あたかも「お前らの好きな宇宙世紀のこともちゃんとわかってるって」と語りかけているがごときである。
私に関して言うと、フリクリ感満載な令和編の絵面よりは安彦感漂う昭和編の画面の方がまだ馴染みがあるクチなので、視聴にあたっての心理的な敷居的なものが和らいだのは確かである。そういう意味では、見事に先方の作戦に乗せられた言えるだろう。逆に令和編の絵面に親和性を覚える若い衆がどう感じたかは少し気になるところである。
ところでさ、この構成によるサプライズ効果を考慮するとさ。公式サイトのイタリア語版が設定情報をお漏らしした件って、やっぱり仕掛けとかじゃなくてガチものの事故だったんかねえ?
■メカ
人型ロボに関して言えば、当方に一番刺さるのはフロントミッションの比較的ずんぐりしたシルエットのメカである。或いは横山宏。
そんな感性なので、オリジナルのガンダムでも足が長すぎると感じるわけで、ましてや本作に至ってはもう膝から下くらい切ったほうがいいんじゃないかくらいの距離感である。とりあえずガンダムのデザインに関してはNot For Meであることが既に確定しているので逆に気楽である。
もちろん、このデザインには独自の魅力があることはわかる。静止画のアップならともかく、令和の3Dパワーを活かしてグリグリ動かしてしまえばキモさも比較的気にならない…というかキモい動きをさせこそ説得力があるというか、どういう動かし方をしても味になりそうなデザインではある。特に赤くなった方のガンダム。
ともあれ、私はエヴァっぽさとか監督の趣味とかそういう世界は存じ上げないので、単純に、この人型かつ有機的なフォルムゆえに発揮される不気味の谷とでも言うべき気持ち悪さが作品にきちんと生かされることを願う次第である。
メカに関してむしろ気になるのは脇役のMS達である。現時点で登場している範囲では主にザクであるが、ああいう主役級から離れた脇役のメカは、手足等がアレンジされているものの、オリジナルのメカメカしさが概ね温存されている。
そんなザクが、ジオンが勝利した歴史において、警察やその他のインフラを担う機体として各所で働いているというシチュエーションは大層好みである。
もういっそガンダムは脇においといてさ、そっちに転がってるザクにサイコミュくっつけてサイコミュ量産機浪漫活劇やろうぜ。
そう言えばこういうシーンに似合いそうなバスキーロットっていう量産機があるんだけどどう? 権利的にも頑張ればどうにかなりそうな距離感な気がしますぜ?
■作劇
昭和編の感想は古きガノタに任せるとして、問題は令和編。
不思議な少年少女が出会ってひょんな事からロボに乗り込んでキラキラ青春レディゴーという筋書きはわかる。わかるが、描写が足りてないせいで「義務感でとりあえず最低限のレディゴーはなぞりましたよ」程度の作劇に収まってしまっている。
というわけでその辺について長々と記す。別にアラ探しがしたいのではないのだが、抱いた違和感を頑張って言語化しようとしたら長くなってしまったのだ。
まず、義務感のレディゴーを最もつよく感じた箇所の一つが、赤いのがガンダムに乗り込んで軍警と戦うシーンだ。
戦う理由、無くない?
自身に直接殺意が向けられたわけでもない。
別に軍警は除かなければならぬ敵というわけではない。
しかし彼女はあんまり必然性のない事情から兵器に乗り込んで軍警のザクを破壊した。結果として軍警が死んだかは失念してしまったが、相手の死を厭わない行動とは言えるだろう。
例えばこれを多少無理して現実世界に置き換えて考えてみると、普通に笑えないというか、少なくとも「若気の至りで青春やっちゃいました」なノリで流せる言動には思えない。
じゃあ本作の主人公は気に食わない相手は気軽に殺せるしどうにかなる見込みがまるでない戦闘行為にも積極的に身を投じる、ネジが壊れたクレイジーな人格かというと、どうも他の場面の描写を見る限りそういう扱いでもなさそうだ。もし仮にそうであれば、彼女は物語開始時点でシャバには存在できていないだろう。過去にはそういうキャラもいたらしいが、それらと比べてもチグハグに思える。それに、サイド6はアスティカシア高等専門学園よりは民度が高そうなので、「サイド6ではよくあること」というわけでもなさそうだ。
となると残るは何かというと…脚本の都合かなあ、ということになる。なんかこう、「とりあえず第一話で青春レディゴーやらんといかんので、ちょっと乗り込みますね」みたいな。
軍警のシーンのみならず、令和主人公組がガンダムに関わっていく過程の細々とした言動や選択にも、やはり同種の不自然さや強引さを感じてしまう。
主人公サイドの事情はバイトのクビとかその程度の日常レベルなのに、やってることは軍警の殺害(or破壊)、ガンダムの強奪、クラバ参戦、およびそれに至るためのお膳立て。どうにも釣り合いが取れていない。これが法も道徳も知ったこっちゃないピカレスクロマンだというのならまだわかるのだが、少なくともこの作品は今はまだそういう顔をしていない。
じゃあ主人公達をそうさせているものは何なのかというと、キャラのパーソナリティーというよりは、やっぱり「主人公がガンダムに乗って、暴れて、クラバをやる」という脚本の都合かなあ、というところに落ち着いてしまう。
そう思って見ると、今となっては古典的すぎて浮いているまであるハロの描写も、もっぱらレディゴー展開に誘導するための小道具という側面が目に付くようになる。
幾つかのインターネットでは、軍警イベントにおける彼女の行動の理由は軍警に対する怒りと説明されているようだ。
確かに、軍警は難民に横暴な態度をとっていたので、まあ、ヘイトを稼ぐポジションなんだなというのはわかる。
でもそれだけでは、難民ではなく(たぶん中~上級の)市民である主人公が軍警に反逆するには説得力が足りない。軍警も難民も、何か背景がありそうな気がするのに、その辺がふわっとしているから余計に描写の足りなさが気になってくる。
終戦後数年経過、中立コロニー、しかしジオンとの関係は流動的、戦後処理、治安の問題、軍警の政治的立場。何か色々設定はありそうだし、それゆえに現時点の情報で「軍警は殺してよい敵」みたいな構図を脳内で決め打ちすることははばかられる。
難民の方もそうだ。令和のこのご時世、「難民」は無条件で同情すべき道徳的絶対強者というわけでもあるまいし、そもそも空気にすら税金が掛けられるコロニーにおいて難民という存在は現実のそれよりも遥かに深刻なはずだ。そんなスラムと市街のそれぞれの温度感なんてものもいかにもありそうではあるが、それはまだ客席には届いていないのが現状だ。
それに、それはそれとしてコロニーで破壊活動をしたガンダムを追うのは至極当然の行動であり、難民であれ市民であれサイド6側の人間がかの軍警の妨害をする理由は乏しい。
というわけで、文脈を汲み取ることで作劇の不足を補完しようとしても、今度は背景の情報が不足しとるよなあ、とならざるを得ない。
…いや、軍警自体はどうでもええねん。言いたいのは描写の不足感だ。
主人公と作劇の話に戻ろう。
冒頭のモノローグで語られる偽物の空、偽物の海。そこに差し込まれるガンダムとキラキラ。
なんかこう、閉塞感とそこからの開放のカタルシスみたいな筋書きがあるような気がするのだが、そういう図式に当てはめるには前フリの段階の閉塞感がいかにも足りない。前フリにあたるものが弱いから、ガンダムに乗ってキラキラの世界に突っ込んでも、そこにカタルシスとか或いは他の感慨みたいなものが生まれにくい。BGMと演出でカバーするにしても限度があるというものだ。
主人公を取り巻くサイド6の世界は、閉塞感に満ちた灰色の世界であればよかったかもしれないが、実際には困ったことに妙に魅力的だ。現代日本の延長とSFと、何と言うか治安の悪さというか大陸系の雑多さを少し混ぜたようなトンチキな世界観。ディストピア飯どころか大盛りのチャーハンに豚の背脂でも乗っけてお出しされそうな宇宙だ。もちろん胡椒はこれでもかとまぶされている。
こうなると、むしろサイド6に生きる人々をもっと見せろという気分にすらなってくる。あそこに住みたいとは思わないが、観光なら行ってみたい。
もっと見せろ、という意味では、その最たるものがクランバトルだ。それも、悪い意味で。
令和編では何度もクラバの名前が飛び交う。
このクランバトルとやらが本作の、(少なくとも序盤あたりは)話を展開する舞台というか小道具になりそうだと予測できる。
しかし、宙を舞うのは言葉だけ。ちっとも実像が伝わってこない。
途中、宇宙空間で二機の機体が喧嘩しているシーンがあったが、あのシーンを見た時、アレがクラバの描写なのか否かの判断にかなり悩んだ。前情報でクラバという言葉だけは聞いていたのだが、他の作品でよくあるような闘技場というか閉鎖空間での戦闘をイメージしていたので、宇宙で喧嘩する二機の絵面に面食らったのだ。というか記憶の欠如もあって未だにあれがクラバだったのかよくわかっていない。
その後も、クラバに関する視覚的な描写は非常に乏しく、いまいちピンと来ない状態で話は進む。
戦場のMSに比べると性能は低いが外連味だけは負けていないであろう改造MSの数々、近接主体の泥臭いが迫力のある戦闘、胡散臭い大会関係者、変動するレートと一喜一憂する群衆。そういう、クランバトルまわりでありそうな、いかにも血湧き肉躍る描写は、まるでない。
だいたいだ。サイド6がトンチキ宇宙世紀であるのならば、クランバトルなんてそれにふさわしいトンチキMSを描写する最高の舞台じゃないのか。
魔改造されたザクはどこだ。逆関節ガンダムの姿が見えんぞ。武器腕ズゴックはどこに消えた。四脚ジオング、タンクビグザム、ホバードム(ただのドムだ)。みんなどこに行った。長距離輸送用デコトラザクとか消防用の赤いザクとか建築用重機ザクとか妄想はいくらでもできる。そしてそんな素人の凡百な妄想をたたき潰す、圧倒的なビジュアルを提示してみせるのが公式の仕事だろうに。
戦闘が始まってのビジュアルの不足は続く。
曰く、マシンガンは貧乏クランでは用意しがたいものだという。いや、ちゃうやろ。それを言葉で説明すんなや、絵で見せろや絵で。
ナックルでも、チェーンソーでも鉄骨でも、きりたんぽみたいなロッドでもいい。とにかく、金がないクランにとってのクランバトルの世界というものを、弾薬費修理費をケチりながら戦う低予算MSの姿を、その戦いを、映像で示すのが先だろう。
群衆を描きたがらない漫画家じゃあるまいに、何故にそうもビジュアルでの表現をケチるのか。
ちょっと話がそれたのでまとめよう。
結局のところ、クラバクラバと言う割には、現時点でのクラバは主人公たちをレディゴーさせるための小道具の域を出ておらず、それ自体を魅力的に見せる努力を欠いている。これではクラバがかわいそうだ。
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というわけで色々述べたのだが、平たく言えば描写が足りない。そしてその根本的な原因はおおよそ想像がつく。昭和編に重力を割きすぎたのだ。
昭和から続く因縁を背景として持ち込みつつ令和の主人公達が青春レディゴーをやるには、令和編の尺が足りない。そんな状態でレディゴーをやるために最低限のプロット用意したという塩梅なので、展開や言動には脚本の都合がちらつくし、それを補うための肉付けをする余裕がなくなってしまっている。
昭和・令和と通して見れば大変味わい深いが、令和編だけに注目すると足りない部分が目立つ。二話以降はこの足りない部分をしっかり描写してくれることを期待したいが、二話、いつやるの?
■キャラ
・シャリアブル
名前だけは聞き覚えがあったが顔も含めて具体的な人物像は全く知らない、そんなキャラ。後で調べてみたが、何一つ知ってる部分がなかった。むしろなんで名前に覚えがあったんだ。
常識人は嫌いじゃない。全盛期のシャアを知り実力と常識を兼ね備えた強キャラとして今後も振る舞ってほしいが、令和の世に振り回されそうな気もするし、昭和の人物があまりでしゃばるのもどうかという気もする。そんな悩ましい男。
・エグザベくん
幸せになってほしい。
・主人公
前述の通り、脚本の都合で動かされている感が強い。とりあえずレディゴーのノルマは果たしたはずなので今後は彼女固有のキャラクター性をしっかり見せて欲しい。それまでは生足やら上下する上半身やらに力を注いでいる暇はないはずだ。
・黒紫の
思ったよりもかよわいい置物だった。いっそのことかよわいだけのマスコットポジションで1クール貫き通すとかどうだろう。
とりあえず以上。はたして本放送後にこのメモの放言をどの程度撤回したくなることだろうね。
chipstar
2025-01-28 14:08:05 +0000 UTCグレゴリウス山田/ヤマーーダ
2025-01-28 11:49:19 +0000 UTC某
2025-01-28 11:30:44 +0000 UTC