[デラックス特典]共感覚と時間感覚についての雑記+ペイントオオカミ雑ネタ
Added 2023-03-03 02:47:19 +0000 UTC「ミラータッチ共感覚を使って絵や漫画を描く」ということについて、まだ残ってる問題がおおまかに分けて3つあった。
①共感覚自身が「感情と連動したもの」として描かれるのを嫌がる
②感情データを共感覚に還元できない/ルールが見つからない
③共感覚の時間に一方通行性が失われている
ざっと開設していく。
①共感覚自身が「感情と連動したもの」として描かれるのを嫌がる
要するに、「感情の変化に伴って身体が変化するシチュエーション」だ。
怒りで身体が膨らんだり、なにかドラマチックな展開と一緒に自分の姿を受容したり、「この世から逃げたい」という願望が無意識に作用してうんたらかんたらとか。まあ、その気持ちは総合的な人格OSとしての私もわかる。共感覚はそんな感情の動きに都合よく寄り添ってはいないし、感情が落ち着いたら気にならなくなるものでもない。だからTFシチュを感情的なドラマに付随して描くのは苦手だし、そもそもそれに価値があるともあまり思ってない。
しかし、ここ最近は拒絶が激化しているので、それはそれで少し困っていた。感情というのはただのテンポや視線誘導やリズム自体でもあるからだ。TFというのは文脈だけで成り立っている概念なので、そこの機能まで否定されると絵や漫画が成り立たなくなる。
②感情データを共感覚に還元できない/ルールが見つからない
これも昔からあった問題だ。
たとえば、身体の感覚をコピーするにはある程度のルールがある。相同部位(前足と手など、同じ発達をした部位)を基準に重ね合わせるとか、生物に似た形をしていなくても、とりあえず頭らしいところを検出するとか。そうでないと、そもそも「感覚」として認識することができない。
しかし、「感情データをそのまま身体感覚にコンバートする」というのことについては、ずっと機能として動いていなかった(ように感じていた)。つまり、「いい話っぽさ」とか「サスペンスっぽさ」とか「報われたっぽさ」とか「哀しいっぽさ」とかの、物語上で揺さぶられる感情については、もちろん理解できないわけではないし、うまくハマったものには感じ入れるが、共感覚で解釈する限り不感症か――あるいは信頼するにたるルールを検出できなかった。
そんなわけで、共感覚が自我で優勢になればなるほどその手の感情揺さぶりに反応できなくなる。人間としても創作物生産者としても良くないのだが、共感覚を抑圧してもどっちみち良くない。結構困ったジレンマに陥っていた。
③共感覚の時間に一方通行性が失われている
これは最近の問題だ。いや、昔からあったとは思うが、なんらかの補正が働いていた期間と違って、最近は明らかな分離が起こっていた。
これは、要するに「時間は過去から未来に流れていると確信する能力」が失われているということだ。物理的な定義はさておき、人間の脳はふつう、総合的には「時間は過去から未来に流れている」ことを前提としている。それの理由はまあ、色々あるんだろう。重力を感じているからとか、動物なので消化や子供の成長が基準になってるとか、そもそも脳が「まだ確定してないことを勝手に想像するための器官」だからとか。
だが、総体としてはそうでも、個々の部署がそれを信じている理由は特にない。会社としては決算をあとから書き直すことは許されなくても、社内では一度提出した書類を差し戻していいのと同じことだ。そして、共感覚もその社内部署に当たる。
ことに身体感覚においてはその「差し戻しをしてもいい権限」が多分かなり強いんだろうと思う。それはそうだ。たとえば人間に野生動物に襲われる可能性がある「危険モード」とそうでない「平常モード」があったとする。もちろん動物の気配がするときは、身体感覚を広げてあたりを警戒する「危険モード」になる。そして気配がなくなるか、時間が充分経過すれば、「平常モード」に戻るだろう。
しかし、生き物は基本的に他の生き物の裏をかくように進化する。この場合、もし人間を狩りたい生き物がいたら、「危険モードになった人間に気付かれず、平常モードに戻った段階を狙える」性質を獲得するだろう。そしてその場合、一度「平常モード」になったら警戒し直せない人間は遺伝子を残しにくくなる。
だが、「危険モード」がずっと長続きする、あるいは終了しない人間の遺伝子もまた残りにくい。ストレスを感じ続けた動物はすぐに弱るし、群れをつくる生き物は誤検出の確率がかなり高まるので、仲間を攻撃してしまう。
結局、残るのは「危機が去ったらすみやかに平常モードになれるが、万が一を考慮して『やっぱり平常モードに戻ってなかった状態』を並行してキープしておける」性質となる。もちろん、これが人間の進化を説明できているわけではないし、合ってるかも怪しい。ただ「身体感覚を変化させる」という一点においてはその『差し戻し』がないと機能として成り立たなさそうだ、という話だ。
実際、アウトサイダーアート(精神障害者や高次脳機能障害者による、正式な美術の訓練を受けていないアート)や子供の絵では時間を無視したストーリーの絵は多い。感覚だけを抜き出して描いた場合、そして意思のある人間として主張をしなくていい場合、時間を一方向にする理由は特にないからだ。
だが、逆に言うなら、不特定多数の人間に見てもらいたいという目的がある場合、時間の方向を無視しないわけにはいかない。先述したが、「どっち方向にどういう順番で見て欲しいか」というのはほとんど人間の感情と同じだ。やり方としては知ってても、そこの目的意識に欠けている場合、どうしても感情に訴えかけるパワーが精彩を欠けることになる。
(どうでもいいけど、この時間の下りってほぼ小林泰三氏の『酔歩する男』で言ってるやつなんだよね。あの人が書き始めた年齢を鑑みても、やっぱ『共感覚が溢れてる脳がようやくそれをまとめられるようになるタイミング』みたいなのがあるんだと思う。というか、野生動物としての寿命を考えると、『30くらいまで共感覚と混濁しっぱなしの脳があっても有利に働く局面あるだろうしそれはそれで問題ない』くらいの設計なんだろうけど)
そんなわけで、ここ最近困ってたんだけど、ぼちぼちなんかこれらの問題全部がまとまってきた。
簡潔に言うなら、共感覚が「時間の身体感覚」を獲得できるようになり、時間=感情という図式で解釈できるようになったのだ。
それに付随して、私の「表現物における感情がわからない」というコンプレックスもやっと解消の兆しが見えてきた。
まあ例によって共感覚の話なので全て言語化するのは難しいが、たとえばこういうことだ。
「ほのぼの」という感情がある。「ほのぼの」とはどういう時間だろうか?
「ほのぼの」というのは平穏で多幸感のある情景をイメージさせるので、多くの人は長い時間であると思いたがるが、しかし実際のところ、人間はあまり長い時間を「ほのぼの」と感じるようにできていない。様々な媒体において、「ほのぼの」はかなり断片的で短期間の1シーンを指している。そして、それが「ほのぼの」の全てだ。少なくとも、共感覚にとって。
「ほのぼの」とは、これまでの身体の一部ではある。たぶん、いま見えていない部分も同じ身体の延長のような形をしている。しかし、断片的でスポンジのようにふわふわしている。いずれ固まるか霧散するかのどちらかではない。共感覚にとって、「ほのぼの」はこれで説明すればよく、もっと仔細でルールのない部分――そのときの人間関係とか、環境とか――は無視してよくなった。
そして、共感覚にとって「他人を描く」必然性もこれでようやく獲得された。というのも、「他人」というのはやはり時間の方向性そのものだからだ。他人と共有した時間を勝手に差し戻したり、遡ったりすることはできない――だからほとんどの物語においてそれは禁忌や罪業として扱われる。それをやっと共感覚が納得した。
この話はとりあえず今回はここで終わり。
~ペイントオオカミネタ語り~
・主人公アリスタルフ(ロシア系の名前使いにくくなっちゃったな、どうしようか)は結局ペイントオオカミの姿で旅を続ける。これも縁とペイントオオカミの里をとりあえずの目標とする。
・いわゆる魔法少女のマスコット枠が同行している。彼(彼女)もペイントオオカミ族だが、身体があまりにも小さく弱いので、自身の代わりに遠隔操作できる平面イヌを中継してサポートする。群れの中では恥さらしで追放された身なので、生身は出て来ない。
・平面イヌは普段主人公の背中に張り付いており、要所要所でアドバイスをしたり、紋術(ペイントによる特殊効果のこと)の伝授や推奨を行う。
《以下、平面イヌによる紋術講座》
・紋は一つの印が大きければ大きいほど強く、必然的に腹or背中の紋が一番強力になる。
・なので切り札や大事な術は腹or背中が望ましいが、それは「一番強い術はこれですよ」と自己表示していることにもなるため、あえて大して重要ではない術を描いておく手もある。また、目立ったところにある紋は汚れや改竄などの妨害を受けがち。特に背中は知らずに書き換えられていることがあるため注意。
・紋術の種類は以下の6つある。
◯常時型:描いた瞬間から消すまで、常に効果を発揮し続けるタイプ。常にエネルギーを食うため、小さめなものが望ましい。顔に感覚強化、背中や腕にカウンターなどのパターンが多い。言うまでもないが、自分で消せない紋を描いてしまった場合、他人に消してもらうまで永続となる。
◯割符型:分割して描き、接触させて完全な印になったときだけ効果を発揮する電気スイッチのようなタイプ。性質上、掌が多い。回復や変装がよく使われる。半分を掌、半分を武器に描くことで「剣を持ったときだけ発揮する印」にもできる。
◯太鼓型:描いた印を叩くことで決められた効果を発揮するタイプ。利便性から腹に描かれることが多いのでこう言われる。一時的な強化、遠隔攻撃などいわゆる魔法的なものが多い。自身に書き込まず、様々な印入りの鼓を持ち歩く「音楽家」と呼ばれるペイントオオカミもいる。
◯視認型:印を見た者に効果を与える変則的なタイプ。印全体を視認されないと意味がないので、基本的に顔か腹に描かれる。効果は薄いかバラつきがあるものがほとんどで、メインの術として使われることは少ないが、ちょっとした全体攻撃や牽制、精神操作に便利。
◯芳香型:匂いのあるインクを用いて、それを嗅いだ者に影響を発揮するタイプ。印の形と精密な匂いの配合が効果を発揮する条件であり、使いこなせる者はほとんどいないし、風上にいれば簡単に無効化できるため、重視する者も少ない。しかし密閉された屋内などでは無類の強さを発揮する。
◯接触型:描いた印に触れた者に効果を発揮するタイプ。物や地面に描けばトラップとして使えるほか、自分に身体に描いた印を相手に触れさせればかなり強制力の高い状態異常を与えられる。印が大きく、触れる時間が長ければ長いほど効果が強くなるので、腹の紋を相手に押しつけてのしかかるのが最も効果が高くなる。性質上、洗脳などに使われることが多い。印を転写させてさらに他の者に写すよう促すこともできる。
・道中、他のペイントオオカミに遭遇する主人公。元人間で胡散臭いということで決闘を申し込まれる。平面イヌからペイントオオカミ同士の決闘について説明される。
◯本気の殺し合い禁止。同族同士の決闘はペイントオオカミのトーテムが見張っているので、紋を使用しようとしても妨害される。
◯それぞれが決闘のみに使う専用紋を描く。決闘紋はそれぞれのペイントオオカミの力を全て吸い取り、巨大な影法師をそれぞれの背後に生成。
◯影法師が出現すると、それぞれのペイントオオカミは腹を突き出して直立したまま動けない姿勢となる。
◯トントン相撲の要領で影法師が大きく地面を叩き、それによってペイントオオカミたちが腹をぶつけ合う。影法師とペイントオオカミの総合的な強さが大きいほうが勝つ。
◯勝者は敗者に好きな紋を一つ描く権利が与えられる(基本的に、決闘・処罰・医療行為以外において他ペイントオオカミに紋を描き込むのは禁忌行為であり、それぞれの最中に出るフェロモンが含まれていない紋はすぐに嗅覚で見破られる)。婚姻の証や弟分、子分の誓いだったり、力を吸収されてしまう紋や、単なるペナルティとして他の動物に変身する紋や恥ずかしい行動をしてしまう紋であることもある。
・ペイントオオカミとして自信をつけてきた主人公はだんだん腹を見せるのが快感になってくる。旧友に指摘されてハッと恥ずかしがったりする。
・酒場で油断して、酔い潰れてるところをらくがきされてひどい目に合う。
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