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夏目恋歌 -アシスト書店- @入れ替わり・女体化・TSF
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小説 【入れ替わり・オネエ】①(最終話)

間違いカクテル、入れ替わり仕立て 『入れ替わり×オネエ』 -あらすじ- ボーイッシュな女子大生の北条紗良は、友人に半ば無理やり連れられてゲイバーを訪れる。そこには言動が豪快なオネェの剛が待っていた。 しかし、隣の席のゲイカップルが遊び半分で注文した「体入れ替わりカクテル」が、アクシデントで紗良と剛の二人の注文したドリンクと入れ替わってしまい、二人の体はあろうかとか交換されてしまう。男まさり女子大生は筋肉ムキムキの男体に絶望し、オネエの剛は女子大生の体に歓喜の声を上げる。羞恥と興奮が交錯する夜、シュールでエロティックな騒動が巻き起こる。男女の境界を越えた奇妙な快感と笑いに、あなたも翻弄される――。 -登場人物- ・北条 紗良 (ほうじょう さら) 性別:女 年齢:20歳 職業:女子大生 ※ ボーイッシュな性格。口調は男っぽくサバサバ。恋愛や「女らしさ」に距離を置いているが、普通の女の子。 ・田嶋 剛 (たじま つよし) 性別:男 年齢:42歳 職業:ゲイバー勤務 ※ ガチムチのゲイ。ひげ面。普段は豪快なオネェ口調で店を盛り上げるムードメーカー。 ・東雲 明日香 (しののめ あすか) 性別:女 年齢:20歳 職業:女子大生 ※ 紗良の大学の友達。ノリが軽く、「絶対楽しいから!」と半ば無理や 紗良をゲイバーに連れていく。 -目次- ・1.提案 ・2.豪快 ・3.テレコ ・4.交換 ・5.謝罪 ・6.混乱 ・7.唖然 ・8.数十分 ・9.文句 ・10.許可 ・11.敏感 ・12.揶揄い ・13.羞恥 ・14.突然 1.提案 昼下がりの大学キャンパス。学食の隅のテーブルで、北条紗良は腕を組んで突っ伏すように座っていた。白色のパーカーにスキニージーンズという、女子大生らしさの欠片もない格好。周囲の女子たちが恋バナやコスメの話題で盛り上がっているのを尻目に、彼女は興味が無さそうにスマホを眺めている。 そこへ、元気よく声をかけてくる友人の東雲明日香が現れた。明るい髪色にゆるく巻いた髪、どこかチャラっとした雰囲気の女子だ。 「ねえねえ紗良〜! 今夜さ、一緒に行きたいとこあるんだよね!」 「また合コン?私、嫌よ?前の合コンの後、男たちからのメッセージでの誘い多すぎて大変なんだから…」 「ちがうちがう!今回はもっと面白いとこ! ……ゲイバー!」 紗良の箸が止まる。 「……ゲイバー?」 「そう! 大学の先輩がハマっててさ、めっちゃ面白いらしいんだよ。オネェとか、ゲイの店員さんとかがいっぱいいるんだって〜。」 「……は? なんで私がそんなとこ行かなきゃなんないのよ…」 「だってぇ、紗良って男らしいから、なんか馴染みそうじゃん! むしろ普通の合コンより気楽でいいと思うよ?」 「……あんた、完全に私を都合のいい友達と思ってるでしょ…」 「ちょっとくらい! いいじゃん、行ってみようよ!」 明日香はきらきらした目で両手を合わせて拝むようにお願いしてくる。紗良は大きくため息をついた。 「……ったく。わかったわよ。今回だけよ…面白くなかったらすぐ帰るからね…」 「やったー! 決まり!」 ・2.豪快 夜。 繁華街の一角にあるネオンの光がにぎやかな通り。二人が辿り着いたのは「クラブ・◯◯」というゲイバーだった。看板には派手な虹色のロゴ。 店に入ると、香水とアルコールの混ざった匂い、色鮮やかな照明、笑い声が迎えた。常連客たちがカウンターで賑やかに話し込んでいる。 そしてカウンターの奥から現れたのが、田嶋剛だった。 筋肉でパンパンの腕、濃いひげ、ギラリと光るピアス。だが口を開けば、豪快なオネェ口調。 「いらっしゃ〜い! あらまあ可愛い子たちじゃない! 女の子二人でゲイバーなんて、なかなか勇気あるわねぇ〜!」 「うっ……」紗良は戸惑いで眉をひそめる。 「大丈夫よ〜? ここに来たからって食べられたりしないから。ねぇ、お嬢ちゃん?」 剛はニヤリと笑い、紗良の肩をがっしり掴んだ。 「さ、触らないでくださいっ……」 「ごめんごめん!ボディタッチアウトだった!気をつけるわねっ♡」 周りから笑い声が上がり、紗良は頬を赤くする。だが、不思議と居心地は悪くなかった。剛の豪快な調子に、つい「ふっ」と笑いが漏れてしまう。 「ほら、言ったでしょ!」と明日香が横で小声で囁く。 その後すぐに、二人は適当におしゃれなカクテルを注文した。また、このゲイバーではお店のルール上、店員もアルコールを飲んでも良い店らしく、剛もカクテルをバーテンダーに頼んでいた…。 ・3.テレコ そんな盛り上がりの横で、別の客席ではとある会話が進んでいた。 「……ねぇ…例の裏メニュー、頼んだの?」 「頼んだわよ…♡数十分だけ体を交換できるっていう薬入りのお酒よね♡アンタの体になるの…楽しみだわ…♡」 ゲイカップルのガタイのいい男の二人組が、ひそひそと囁き合う。 やがてゲイバーの店員がこっそりと小瓶を取り出しカクテルに混ぜて、そのカクテルをカウンターに滑らせた。 その間に薬を混ぜていないカクテルが、ゲイカップルの前に出された。それを受け取ると、二人はドキドキしながら、薬の入っていないカクテルを飲み干した。 「カクテルに混ぜてくれてるから、飲めばすぐ効くって♡」 「でも、こんなカクテルで本当に体が入れ替わるのかしら…♡即効性はないのね…?」 ゲイのカップルの二人は何秒待っても効果がでず、少し不振がっている。 ――しかし、あろうことか店内のざわめきと慌ただしさの中で、その小瓶は間違ったグラスへと注がれてしまう。 たまたまゲイカップルと同じカクテルを注文していた二人がいた…。その入れ替わり薬が入ったカクテルが運ばれてきたのは、紗良とゲイバーの店員の剛の前のテーブル。 「はいは〜い!♡お待ちどうさま、スペシャルカクテルよ〜ん♡剛ちゃんもどうぞ〜♡」 「おっ、やっときたわね〜♡じゃあ乾杯しましょ♡」と剛が言う。 明日香はグラスを受け取った。 「わぁ〜!ありがとうございます!美味しそう〜♡」 紗良も渋々グラスを取った。 「……ほんとゲイバーの人たち、テンション高いね…」 剛はそれに反応した。 「なによ〜、あんた若いんだから楽しまなきゃ損よ!ほら、乾杯〜♡」 紗良と剛、二人のグラスが触れ合う。 チン、と乾いた音。 そして――間違いカクテルが、彼らの喉を滑り落ちていった。 ・4.交換 視界がぐらりと揺れた。 胃の奥から熱いものがせり上がり、全身を雷に打たれたような感覚が走る。 「……う、うわあああああッ!!」 剛(精神さ紗良)は自分の声に驚愕した。 低く、野太く、筋肉で振動するような声。思わず目の前にあった鏡張りの壁に映る姿を見た。そこにいたのは――髭面のガチムチおじさん。 「ちょっ……ちょっと待って!?なによこれぇぇぇ!?私じゃない!?私がオッサンになってる!?嘘っ!?」 その場に崩れ落ち、震える手で分厚い胸板を掴む。固く盛り上がった筋肉が指の下でびくびくと動く。腕も太く、毛深く、まるで知らない肉体。 「や、やだ……こんなの……」 絶望の声が、低く響いた。 一方その横で――。 「きゃっ♡」 妙に甲高い声を出したのは、紗良(精神は剛)だった。 鏡に映った若い女の顔を見て、目を輝かせる。 「な、なによこれぇ〜!?♡あたし……女の子になっちゃったの!?……うそ、脚細っ!♡お肌ツルッツルじゃな〜い♡」 胸を押さえ、腰をひねり、嬉しそうに回ってみせる。 「うっわぁ……夢みたい!!♡もう戻りたくな〜い!♡最高よ、最高!♡」 そのテンションの対比に、店内の空気は凍りついた。 ・5.謝罪 「……え、ええっ? なに、二人ともどうしたの……!?」 明日香が椅子から立ち上がり、二人を交互に見る。 「さっきまでの紗良とは雰囲気が違うし、逆に田嶋さんは……男の声でガラ悪く叫んでる……」 彼女の瞳が大きく見開かれ、やがて震える声で呟いた。 「……もしかして…入れ替わってる…!?…」 その瞬間、カウンターの向こうでゲイカップルが青ざめて立ち上がった。 「あ、あの……ご、ごめんなさい!」 「それ、アタシらが頼んだやつが間違ってそっちにいったのかも…入れ替わり薬……! ほんの数十分だけ体が入れ替わるっていう、この店の裏メニューが……」 頭を下げる二人。 その後、ゲイバーの店員も事態に気付き、謝罪をした。 「ご、ごめんなさい…アタシが間違えて……そちらに……。体質にもよりますけど、だいたい数十分で元に戻るはずです…」 必死の弁解が、かえって惨めに響いた。 ・6.混乱 「……数十分……も……?」 剛(精神は紗良)は、低い声で呻き、拳を震わせる。 「一秒でも、こんな体にいたくないんだけど……!?早く戻してよ……」 厚い胸を掴み、涙目で呟く姿は痛々しくも滑稽だった。 その言葉に、紗良(精神は剛)はピクリと反応した。 「……そんなこと言わないでよ……」 女の子の声で、かすかに震えたトーン。 「せっかく……アタシ、女の子になれたのに……。そんなに嫌がられると……なんか、悲しいわ…」 その表情は一瞬だけ寂しげに歪んだ。 周囲の笑い声やネオンの眩しさが、急に異様に冷たく感じられる。 剛(精神は紗良)はハッとし、言葉を飲み込んだ。 「……ご、ごめんなさい…。別に……剛さんを傷つけたくて言ったわけじゃないんです…。……ごめんなさい…」 紗良(精神は剛)は少し笑って肩をすくめる。 「いいのよ…。普通の女の子ならそう思うわよ…。……でもほんとに、戻りたくないなぁ…」 その「戻りたくない」の響きが、笑いを誘うはずのオネェ口調なのに、どこかゾクリとするほど本気に聞こえて――剛(精神は紗良)は背筋に冷たい汗を流した。 ・7.唖然 ゲイバーの店員とゲイカップルも平謝りを繰り返した。 「本当にごめんなさい…アタシの勘違いで間違って渡してしまって…」 「まさか間違って渡されるなんて……なんか、ごめんね…」 「アタシらさが変なもの注文しちゃったから……。代わりにと言ったらなんだけど、今夜の飲み代は全部払うから、パーっと飲んで!」 深々と頭を下げると、ゲイカップルの二人は小走りに伝票をつかみ、かなり多めに支払い、会計を済ませてそそくさと店を出ていった。逃げる背中には申し訳なさと安堵が混じっている。 残されたのは、入れ替わった二人と、唖然とする明日香。 ・8.数十分 紗良(精神は剛)は間違えて提供した、バーの定員に注意をしていた。間違えたのは剛の後輩だったようだ。 「……あのねぇ…アンタも気をつけなさいよ…」 「すみません…」 その店員は剛(精神は紗良)に平謝りをして、その後すぐにバーテンダーの仕事に戻った。 剛(精神は紗良)は平謝りされて、数十分後は元に戻れると言うことだったので、それ以上は責めなかった。 低く響く声で、剛(精神は紗良)ため息をついた。サバサバした口調はそのままだが、出てくる声は筋肉オネェのもの。 「数十分で戻るっていうんなら……仕方ない…嫌だけど、我慢するしかないじゃない…」 その横で、落ち着いた紗良(精神は剛)は目を輝かせた。 「アタシもこの薬は知ってたけど…実際に飲んだのは初めてなのよ…♡じゃあちょっとだけ……この身体、楽しんでもいいかしら?♡」 嬉しそうな表情を浮かべてくるりと回り、鏡に映った若い女子大生の姿をうっとり眺める。 「だってこんな経験、一生できないんだもの♡ちょっと楽しむくらい、いいじゃないの〜!♡」 ・9.文句 「……ねえ、紗良」 その様子を見ていた明日香が、ニヤリと笑って口を挟む。 「こんなの滅多にできない体験だよ? 逆にさ、楽しんでみたら? ほら、剛さんもすっごい喜んでるし」 「……あんたねぇ……」 剛(精神は紗良)は太い腕を組み、渋い顔で明日香を睨む。 「楽しめるわけないでしょ。だって私、よりによってオッサンのガチムチボディよ?見てみなさいよ、この毛深さとムキムキ感……。女として終わった気がする…」 「ちょっとぉ〜!!人の身体をそんな言い方しないの!」と紗良(精神は剛)が頬を膨らませる。 ・10.許可 剛(精神は紗良)は大きく息をつき、観念したように肩をすくめた。 「……すみません…。もう少しで戻れるんでしょ? なら……少しだけなら、私の体楽しんでいいですよ…」 その言葉に紗良(精神は剛)は小躍りするように手を叩く。 「キャー! あんた最高!♡じゃあ、ちょっとこの体で夜の街を歩いて、若い男をナンパしてみよっかしら♡」 「……ただし…」 剛(精神は紗良)の低い声が、ビシリと紗良(精神は剛)を制した。 「私の身体で、変なことはしないでください…それだけは絶対ですからね…」 「……あらまぁ…♡じゃあ、ナンパはできないわね…♡」 紗良(精神は剛)一瞬きょとんとしたが、次の瞬間にふわりと笑みを浮かべる。 「心配しなくても、アタシもそんな簡単に男とどうこうしたりしないわよぉ♡……でも女として見られるのって、ちょっとドキドキするわね♡」 その無邪気な喜びが、妙に不気味に見えた。 剛(精神は紗良)は胸の奥でぞわりとした違和感を覚えながら、グラスを置いた。 ・11.敏感 ゲイバーの赤と紫の照明の中、三人は妙な緊張感を孕んだままグラスを手にしていた。 「あんたがこんな所に誘うから、こんなことになったんだからね…」 剛(精神は紗良)が、低く響く声で明日香を睨む。太い腕を組んでいる姿はまるでプロレスラーだが、口調はいつも通りサバサバとした女言葉で、そのギャップが周囲の客の視線を集めていた。 「いやぁ〜ごめんごめん!でもさ、紗良って普段から男口調じゃん?剛さんの体の方が似合ってる気するんだけど」 明日香はグラスをクイッと煽りながら、悪戯っぽく笑った。 「似合うかボケッ!!」 言いかけて、剛(精神は紗良)は舌打ちした。男の体の喉から発せられるドスの効いた声が、余計に彼女の苛立ちを助長していた。 「でもさぁ、ガチムチ紗良ってレアすぎるよ。めっちゃ面白い!」 明日香は笑いを堪えきれず、テーブルを叩いて笑う。 その横で、紗良(精神は紗良)が、にやりと唇を歪めた。 「アンタたち、アタシの体を散々言ってくれちゃって…。女の体も悪くないけど…男の体も最高なのよ♡ほら、乳首つねられると感じるのよ…♡」 そう言いながら、紗良(精神は剛)は剛(精神は紗良)の体をいやらしく撫で回し、ついには服の上から胸元に指を伸ばし、剛(精神は紗良)の男性の乳首をつねった。 「ちょっ、やめっ――!?」 剛(精神は紗良)が、低い声で制止しかけるが遅かった。 紗良(精神は剛)が、布越しにつよめに乳首をつまむ。 「ひゃっ…あっ♡」 剛(精神は紗良)から、思わず艶のある野太い声が零れ落ちた。 その場の空気が一瞬、凍りついた。 「……なに今の声?めっちゃオカマっぽかったよ?」 明日香が呆然としたあと、吹き出すように笑い出す。 「ち、違っ、これは勝手にッ…!!剛さんもやめてくださいよ!!」 剛(精神は紗良)は顔を真っ赤にし、分厚い手でテーブルを叩いた。だがその姿は、どう見てもガチムチ男が照れて取り乱しているようにしか見えなかった。 紗良(精神は剛)は楽しげに目を細めて、指を離しながら囁く。 「紗良ちゃん、敏感でかわいいのねぇ♡アタシ、このまま戻りたくなくなっちゃいそう♡」 ――笑いと悪ふざけの空気の裏に、じわじわと「元に戻れる保証がないのでは」という薄暗い不安が漂い始めていた。 ・12.揶揄い 照明の赤紫に包まれたゲイバーの一角。 紗良(精神は剛)は、にやけ顔でグラスを置くと、両手を堂々と胸元へ伸ばした。 「でも…やっぱり…男の体とは違うわねぇ〜♡柔らかくて温かくて…もう最高♡」 紗良(精神は剛)は嬉々として紗良のおっぱいを両手で鷲掴みにし、もみもみとリズムをつける。 「や、やめてくださいっ!!」 剛(精神は紗良)が、野太い声でテーブルを叩いた。顔を真っ赤にして怒鳴っても、どう見てもガチムチのおじさんが必死に抗議しているだけにしか見えない。 そのアンバランスな光景に、明日香は腹を抱えて笑い出した。 「アハハハッ!ちょっと待って、シュールすぎ!紗良がガチムチの体で『やめてください!』とか言ってるの、マジで腹筋崩壊するんだけど!」 「だから、笑わないで!!笑い事じゃないから!」 剛(精神は紗良)は怒鳴り返すが、その声の低さが余計にコントのようで、明日香はゲラゲラとテーブルに突っ伏した。 紗良(精神は剛)は胸を揉む手を止めず、楽しそうに吐息を漏らす。 「ふふっ…紗良ちゃん♡嫌がる顔がまたいいわぁ♡こんな体験、二度とできないんだから、楽しまなきゃ損よ〜♡」 「だから、私の体でおっぱい揉まないでくださいっ!!」 剛(精神は紗良)が、ついに立ち上がって怒声を響かせる。 ――しかしその光景は、酔客から見れば、ガチムチ男が絶叫し、隣の女子大生が胸を揉みながら笑っているという、どうしようもなくシュールな場面だった。 店内の空気は、爆笑と薄気味悪さが入り混じり、妙なダークさを孕み始めていた。 ・13.羞恥 照明の下で、紗良(精神は剛)を誇らしげに揺らしながら、にやりと笑った。 「さぁ〜て、ストリップショーを始めるわよ〜!♡」 突然の宣言に、明日香が思わず手を口に当てて声を押し殺す。 「え、えっ、なにそれ!?♡」 「こうなったら楽しまなきゃ損でしょ♡」 紗良(精神は剛)は大胆にも白色のパーカーを脱ぎ始める。紗良(精神は剛)の体から次々と布が消え、ついにはグレーのスポーツブラとパンティだけの姿になった。 「ちょっ!?やめてくださいっ!!」 剛(精神は紗良)が、低く荒い声で怒鳴る。顔を真っ赤にし、両手を振って止めようとするが、その姿はただのガチムチ男があたふたしているようにしか見えない。 紗良(精神は剛)胸を張って下着姿を見せつけ、鏡に映る自分を見て笑った。 「ふふっ、色気ない下着ね〜!アタシの方が可愛い下着持ってるわよ♡」 その言葉に、剛(精神は紗良)は、さらに怒りを募らせる。 「なっ!?色気なんかいりませんし!!てか、いい加減にしてくださいっ!!」 明日香は思わず吹き出し、テーブルに倒れ込んだ。 「アハハハッ!紗良がムキムキオッサン体で怒ってるの、マジでシュールすぎる!!映画化できるレベル!!」 紗良(精神は剛)は笑いながらも、鏡の前でポーズを変える。 「ふふっ……♡紗良ちゃんの体、アタシの方が使いこなせるんじゃないかしら…♡」 その瞬間、店内の笑いとざわめきの中に、少しだけ緊張と不気味さが混ざった空気が漂った。 ――コメディのはずなのに、二人の体の所有感と羞恥が妙にリアルで、見る者の背筋をぞくりとさせるのだった。 ・14.突然 赤と紫の照明に包まれたゲイバーのカウンター。 紗良(精神は剛)は下着姿のまま鏡の前でポーズを決めようとしていたが、突然、紗良と剛の二人は雷に打たれたかのように全身を震わせた。 「うっ……!?」 「きゃっ…!!」 剛(精神は紗良)は、そのままバーのカウンターへドサリと倒れ込む。 一方、紗良(精神は剛)は、倒れそうになりながら明日香に支えられて受け止められた。 「な、なに今の……!?」 二人は声を上げながら、しばし硬直する。 そして数秒後―― 光と震動が収まると、二人は元の体に戻っていた。 「も……戻った……!?」 紗良は思わず胸を撫で下ろし、目に涙を浮かべて喜びを噛みしめる。 「……ああ、やっぱり自分の体が一番……!!♡」 嗚咽混じりに泣き出し、ホッとした安心感で顔をくしゃくしゃにする。 しかしその瞬間、紗良は自分の下着だけの姿に気づいた。 「ちょっ……きゃっ!?」 咄嗟に手で胸元を押さえ、パンティも必死に隠そうとする。 明日香はその光景を見て、もう我慢できないとばかりに大爆笑した。 「アハハハッ!もう最高!紗良、下着姿で泣きながら叫ぶとか、シュールすぎるでしょ!!」 「……うるさいッ!!明日香笑すぎよ!!」 紗良は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、明日香を睨む。 一方、剛は自分の男の体に戻ったことを見下ろし、ふてくされたように唇を尖らせた。 「ちぇっ……女の子の体、快適だったのに……」 おっぱいもなく、脚も太くて重い自分の体を見下ろし、悔しげにため息をつく。 バーの奥から、赤紫の光に照らされる三人の姿は、シュールで滑稽、そしてほんの少しだけ後味の悪い、奇妙な光景となっていた。 -終わり-


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